☆現在のアリナミンCMはこちらのバージョンに変わっています。
☆このCMの以前には、ここで解説する「ペール・ギュント」版が放送されていました。
ミュージカル調の歌詞
アリナミンナイトリカバー(ALINAMIN NIGHT RECOVER)のCMで、ミュージカルスターの山崎育三郎(やまざき いくさぶろう)さんが、組曲「ペール・ギュント」の「朝」のメロディーに「アリナミン、ナイトリカバー」の歌詞を乗せて唄っています。
歌詞の区切り方に注目です。
アリナミンナイトリカバー 新しい朝編
歌詞はこちらです。
アー リナミンナ イトリカバーは明日(あす)のために飲 む栄養
寝てる間(ま) に疲れを取ってくれるから朝、いい感じに なります
歌詞の途中の、変なところで切れたり、字数を合わせるために急にやたら早口になったり、もともとあるメロディーに、日本語の歌詞を無理やり当てはめた、という、あえての不自然感がすごいですね。
あえて「ミュージカル」っぽくしている
日本のミュージカルは、伝統としては欧米には遠く及ばす、まだまだこなれていないため、そこで歌われる歌の歌詞のイメージとしては、まさにこういう、多少「自然でない」感じで捉えられているので、日本を代表するミュージカルスター山崎育三郎さんとしては絶妙の歌詞であり、歌い方ではないでしょうか。
それらしく歌われていて、たいへん上手いと思います。
メロディーは「ペール・ギュント」から
このメロディーは、ノルウェーの作曲家グリーグの「ペール・ギュント組曲」の中の、ズバリ、「朝」というタイトルの音楽です。
「ペール・ギュント」はノルウェーの劇作家イプセンの物語に、同じくノルウェーの作曲家グリーグが曲をつけた「劇音楽」なので、アリナミンCMのミュージカル調の歌はピッタリではあります。
「ミュージカル界のプリンス」
また山崎育三郎さんはNHKの、作曲家「古関裕而(こせきゆうじ)」の生涯を描いた朝ドラ「エール」で「伊藤久男」を演じていますが、いかにも「歌がうまいだろう?」という自信いっぱいの「上から」キャラクターで好評でした。
それもそのはず、子供の頃から活躍していた上に、東邦音楽大学附属東邦高等学校声楽科在籍中に、アメリカ合衆国ミズーリ州にあるノースカンティー・ハイスクールへ語学留学、帰国後卒業。東京音楽大学声楽演奏家コース在籍中に売れっ子になって中退。
というしっかりした背景があって、「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれているからなんですね。
その自信に満ちた態度がイヤミにならずに微笑みを誘うのは、その人柄によるものだと思われます。
アメリカのハイスクールに留学中の、こんなエピソードがあります。
当時、同校にアジア人は山崎だけであり、英語がまったく話せなかったことから、いじめの標的にされたことがあったという。トイレに隠れるなど孤独でつらい3ヵ月間を過ごしたが、意を決して参加したダンスパーティーで中央に飛び出て無我夢中でダンスを踊ったところ、周りの目が一気に変わり、翌日から人気者になったという。この経験から「自分が行動しなければ何も変わらない」「怖いところにしか成長はない」と語っている。
wikiより
また、こんな事実も。
2003年5月、全米高校生クラシック声楽コンクールのミズーリ州大会にて上位入賞、同年6月に帰国し同年9月より高校2年生2学期開始。帰国後は、家族がそれぞれ別の場所で活動していたため、要介護の祖父母と3人暮らし。学校と介護の両立を続けた。
wikiより
こんな経歴を知ると、どうしたって山崎育三郎さんを応援したくなってしまいますね。
山崎育三郎さんにエールを
応援と言えば、NHK朝ドラ「エール」で伊藤久男役を演じて、甲子園高校野球の大会歌を歌ったので、NHK外でも唄うことになりました。
「栄冠は君に輝く」山崎育三郎with高校生&小学生
「エール」の主人公、古関裕而氏の母校、福島県立福島商業高等学校吹奏楽部のみなさんと、やはり福島県、福島大学付属小学校合唱部とのいわゆる「コラボ」ですね。
甲子園でも熱唱
こちらは2021年夏の甲子園、第103回全国高校野球選手権大会本番で、「栄冠は君に輝く」を歌った時の山崎育三郎さんです。
この時はコロナ禍なので、選手団とプラカードガールはいますが、一般席は無観客です。
伴奏のないアカペラなので、テンポも調も自由自在です。
さすがに緊張のためか歌詞3番で音程が乱れますが、すぐに修正するところがプロですね。
この日の山崎育三郎さんは前日寝る前に「アリナミン、ナイトリカバー」を飲んで、寝ている間に疲労を回復して、気持ちの良い朝を迎えたにちがいありません。
今回のお話
今回は、アリナミン「ナイトリカバー」のCMで、「ペール・ギュント」の「朝」のメロディーに乗せた歌詞を唄う山崎育三郎さんをご紹介しました。
最後に、「ペール・ギュント」の組曲のタイトルをご紹介しておきます。
「自由奔放なペール・ギュントが旅に出て年老いて帰ってくるまでの物語」
wikiより
第1組曲
第1曲「朝」
第2曲「オーセの死」
第3曲「アニトラの踊り」
第4曲「山の魔王の宮殿にて」
第2組曲
第1曲「イングリッドの嘆き」
第2曲「アラビアの踊り」
第3曲「ペール・ギュントの帰郷」
第4曲「ソルヴェイグの歌」
各曲に題名が付いているので分かりやすいためか、小学校や中学校の音楽の時間に聞く機会が多いと思いますが、内容的には、浮気者の放蕩息子の話なので、あまり教育的とは言えませんね。
おとなになるまでは深入りしないで、音楽だけを楽しまれると良いと思います。
アリナミン新CM
なお、アリナミンCM、現在はまた新しいCMに変わっています。
こちらもオペラで、プッチーニの「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」という曲ですね。