なぜドコモCM曲が「Tea for Two」なのか
ドコモCM dカード
こちら、浜辺美波(はまべみなみ-本名)さんが出演するドコモのCMでは、ドコモ「d」カードは恋人同士の「二人の」ためのカードですよ、というコンセプトでの紹介になっています。
なので、音楽が、アメリカスタンダード曲の「Tea for Two」(ティー・フォー・トゥー)をもじって、「”d” for Two」(ディー・フォー・トゥー)という連想なんですね。
「Tea for Two」(ティー・フォー・トゥー)はこちらでも使われています。
dカードCM「もったいないってBAR」dトク祭篇
こちらのバージョンでも。
dカードCM「もったいないってBAR」1000万会員篇
例えば、コンビニのレジでまずスマホの「d ポイントカード」画面を出して店員さんに「ピッ!」としてもらうとポイントがたまり、次に「d 払い」画面を出して、また店員さんに「ピッ!」としてもらって「d 払い」すると、またまたポイントがたまる「ポイント二重取り」ができますよ、ってことなんですね。
つまり、一回のお買い物で、二回のポイント取りをするための「d」ですよ、という意味で、「Tea for Two」(ティー・フォー・トゥー)をもじって、「”d” for Two」(ディー・フォー・トゥー)という連想なんですね。
ダジャレっぽいドコモ
もともとドコモさんは、「ポイント」とかけて「ポインコ」というインコのキャラクターを作ってしまうなど、ダジャレっぽいネーミングが多いですね。
今回も「もったいないってBAR」と、「もったいないってば〜」を、かけているんですね。
「ティー・フォー・トゥー」(二人でお茶を)は、スタンダード曲
さて、このCMに流れている曲「Tea for Two」は、舞台ミュージカルの中で使われた曲で、1924年にヒットしています。
その後「Tea for Two」というミュージカル映画にもなり、そこでは主演のドリス・デイが歌っています。
www.youtube.comワーナーブラザーズ公式チャンネルより
100年くらい前の曲でありながら現在でもこうやってCMでも聞けるくらいにポピュラーなのですから、いわゆる「スタンダード」曲になっていて、現在までにいろいろなパターンの演奏や歌がありますね。
演奏では、トミー・ドーシー楽団の「チャチャチャ」版が有名です。
こちらは、「セカンドワルツ」で有名なショスタコーヴィッチが編曲した、タイトルが変わったけれども中身は「Tea for Two」の「Tahiti Trot」(タヒチ・トロット)です。
「ティー・フォー・トゥー」の歌詞に男女のちがい
ところで、私は「Tea For Two」の歌詞をネットで見つけて読み出したのですが、一行目から頭をひねってしまいました。
「私のひざの上のあなたを思い描いてみてよ」
ドリス・デイのひざの上に男性が乗る???
それは何だかへんな感じがします。
ドリス・デイは身長170cmですが、大柄な欧米男性の中にいると、やはり小さい方です。そんな彼女のひざに、むくつけき大男が乗ってる???
う〜む、どう想像しても、全くロマンティックな感じがしません。
「ひざまくら」のことか
ひょっとして、欧米でも「ひざまくら」みたいなことをするのでしょうか。
もしそうだとしても、それは紅茶を飲む体勢としては、あまり向いていない、かなり無理のある体勢だと思われます。
何だかおかしいなあと思いながら、ネット上の訳詞をいろいろ探してみて、ようやく謎が解けました。
「男性用」の歌詞、「女性用」の歌詞がある
私が読んでいたのは「男性用」の歌詞だったのです。
なるほど、歌っているのが男性ならば、
「私のひざの上のあなたを思い描いてみてよ」
という歌詞では、全く自然に、男性のひざに女性が腰かけている、という、他の映画でもよく見かける、男女のとても親密な様子が思い描けますね。
入れ替わる男女
「ティー・フォー・トゥー」の歌詞には、男性歌手用、女性歌手用、さらにデュエット用という区別があるのでした。
歌う人が男性か女性か、はたまたデュエットなのか、によって、歌詞の「あなた」と「私」が入れ替わるのですね。
ドリス・デイは当然のことながら、「女性用」の歌詞を歌っているのでした。
つまり、
「私のひざの上のあなたを思い描いてみてよ」
ではなく、
「あなたのひざの上の私を思い描いてみてよ」
と歌っているのでした。
これなら、すんなり意味が通ります。
こちらの映像では、女性であるドリス・デイと男性コーラスが歌っているので、歌い手の男女のちがいによって歌詞もちがっているのがよく分かります。
https://www.youtube.com/watch?v=AdidF8llPHo
今回のお話
今回はドコモCMになぜ「Tea for Two」が使われたのかを探ってみたら、「ティー・フォー・トゥー」の語呂合わせで「d・フォー・トゥー」という、ほぼダジャレ的発想から来ているらしいことが分かったこと。
そして、英語の歌は歌い手の男女のちがいによって歌詞が変わるので、ボーッと聞いていてはいけない。男女のちがいはきっちり分けないといけない。ということが分かった、というお話でした。
でも、日本では女性の歌詞を男性が普通に歌ってますね。
考えてみれば、男性の歌詞を女性が歌ったりもします。
むしろ日本のほうが欧米より、男女間のちがいについておおらかなのかも知れません。