CMの曲は?女優は?
ディオールの香水「Miss Dior」のCM
MISS DIOR, THE NEW FRAGRANCE
まず画面にディオールの香水「Miss Dior」が映ると同時に、冒頭から流れる曲は「ジャニス・ジョプリン」の「Cry Baby」。
女優「ナタリー・ポートマン」がカメラに向かって、
「Wake Up」(目覚めて)、
と呼びかけます。
見ている方としては、ここですでにドキッとしますね。
それから画面ではナタリーの、美しくもめくるめく、さまざまな「愛のための行動」が目まぐるしく展開します。
花畑に倒れ込んだり、カーラジオからのジャニスの曲に合わせて歌ったり、涙したり、澄んだ海に浮かんでクジラと遊んだり。
そして、
「And You?」(で、あなたは?)
と、カメラつまり私たちの目を真っ直ぐに見つめて、ちょっと強めに問いかけられるので、さらにドキッとして、耳に残ります。
そして、すぐに、
「What would you do for love?」(愛のために何をなさるの?)
と、こんどは柔らかい言葉づかいと、優しい声のトーンによる問いかけになります。
そして、さらに、「ナタリー・ポートマン」はニコッと微笑んで、
「Miss Dior, The New Fregrace.Dior」(ミス・ディオール、新しい香り。ディオール)
と、オシャレな広告文を、セリフのような自然な流れで決めて、香水「Miss Dior」の画像が大写しです。
これはもう、思わず買ってしまいますね「Miss Dior」を、愛のために。
口コミでは、「甘くて深くてフローラルなふわっとした香り」だそうです。
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曲はジャニス・ジョプリン
この流れるようなCMの展開に説得力を持たせているのは、言うまでもなく、背後に流れている、感情と気合いと魂の入った音楽。
ロックシンガー、「ジャニス・ジョプリン」の「Cry Baby」(クライ・ベイビー)という曲です。
恋人への、強烈というより激烈でありながら、無私な、優しく包み込む愛情があふれている曲です。
こちらの短いバージョンのCMが流れることもありますが、こちらの背景に流れる曲も同じく「ジャニス・ジョプリン」の「Cry Baby」(クライ・ベイビー)です。最初のシャウトの後に続く穏やかな部分ですね。
MISS DIOR BLOOMING BOUQUET「ミス・ディオール/ブルーミング・ブーケ」CM
歌は「ジャニス・ジョプリン」
「ベイビー」は恋人のことです。
普通は男性が女性に「ベイビー」と呼びかけるイメージですが、女性が男性に対しても「ベイビー」と言います。「ハニー」もそうですね。
この曲は1970年、「パール」というタイトルのアルバムのセッションで録音されていましたが、残りあと一曲でアルバム完成という段階で、ジャニス・ジョプリンが27歳という若さで、突然亡くなってしまいました。
そのため、その曲は楽器の演奏だけが録音されて、アルバム「パール」が完成。翌1971年に発売されました。
「パール」というのは「真珠」のことですが、実はジャニス・ジョプリンのニックネームでもありました。
ジャニス自身が「パール」と、周りの人から呼ばれたがったのだそうですが、ジャニスがどういう想いからそう呼ばれたいと思ったのか、想像してみると、その心の中が垣間見えるような気がして胸がつまりますね。
ジャニス・ジョプリンについては、ベット・ミドラー主演で映画も出来ていますが、そのタイトルは「ローズ」つまり薔薇の花です。
こちらはその映画の主題歌。歌もベット・ミドラーです。
The Rose - Bette Midler (歌詞字幕)English & Japanese Lyrics
薔薇と真珠と香水と
ジャニスは、本当はバラのように香り高く、真珠のように柔らかい光で輝いている、そんなひとだったのでしょう。
しかし、その歌声は魂の叫びです。
なまやさしい気持ちでは聞けません。
私も聞く時には、ちょっとした真剣勝負の覚悟をして聞きます。
心構えが出来たところでお聞きください。
Janis Joplin - Cry Baby
歌詞と解説はこちらが詳しいです。
元歌は男性歌手版であった。
作詞作曲は バート・バーンズ(Bert Berns)とジェリー・ラゴヴォイ(Jerry Ragovoy)。ジェリーの「Time is on my Side」はローリング・ストーンズでヒットしています。
最初は男性歌手が歌っていたそうですから、このような「想い」は、男女の違いを超えた、人間としての普遍的な感情なんだろうと思います。
今回のお話
今回はナタリー・ポートマン出演のDIorのCMに流れている曲の迫力のボーカルはジャニス・ジョプリンで、曲が「Cry Baby」であること。
この香水のCMがジャニス・ジョプリンの生き方や歌に寄り添った、ちょっと「攻めた」CMであること。
ジャニス・ジョプリンの本質を象徴する「薔薇」と「真珠」は、今回のCMのテーマである「香水」と大変なじむ組み合わせであることが分かった、というお話でした。