一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

「ラデ『ッ』キー行進曲」ではなく「ラデ『ツ』キー行進曲」だ・アース製薬のCM

※ここにご紹介した、アース製薬のCM「おすだけアースレッド無煙プッシュ頑張らないゴキブリ対策」は放送終了しましたが、この記事はCMに使われていた音楽についての記事なので、残しておきます。

※アース製薬「おすだけアースレッド無煙プッシュ頑張らないゴキブリ対策」

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CM曲は「ラデツキー行進曲」

梅雨から夏はゴキブリたちが出現する季節、ということで、ゴキブリ対策の王道、殺虫効果に加えて予防効果も兼ねる「燻煙(くんえん)」なみの効果が、食器に新聞紙をかぶせるなどの前準備や後片付けを必要としないで得られるアース製薬「おすだけアースレッド」のCM曲に、「ラデツキー行進曲(ラデツキー・マーチ)」が使われています。

小さな「ッ」ではなく大きな「ツ」

なお、「ラデツキー」はドイツ語の人の名前なので、「ツ」は大きい「ツ」です、「ラデッキー」ではなく「ラデツキー」です。「まったけ」ではなくて「まつたけ」のようなものですね。

実際の発音

下のリンクの「Google 翻訳」という文字から入って、ドイツ語の発音が聞けます。

Radetzky-Marschという言葉の左下にある「マイクマーク」の右にある「スピーカーマーク」をクリックすると、ドイツ語の発音が聞けます。

「ラデツキー・マーチ」ではなくて「ラデツキー・マーシュ」に聞こえますけどね。

translate.google.com

 

メロディーに合わせて歌っている

さて、CMの音楽をよく聞いてみると、調子の良いメロディーに合わせて、「シュシュシュッ、シュシュシュッ」と歌ってますね。

そして、映像を見ると、部屋のスミや家具のスキマなどに「アースレッド」を「シュシュシュッ」とスプレーしてます。

クラシック曲を、そんなふうに「いじって」いいの?という気もしますが、実は本家オーストリアの方でも、めちゃめちゃ「いじって」いるのです。

本家の方での「いじり」

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Johan_Strauss_padre.jpg

「ヨハン・シュトラウス1世」Wikiより

 

この曲「ラデツキー行進曲」は、オーストリアの作曲家「ヨハン・シュトラウス1世」が作曲した、オーストリア陸軍の名将「ヨーゼフ・ラデツキー将軍」を讃えるための曲です。

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/6e/Radetzky-von-radetz.jpg

「ヨーゼフ・ラデツキー将軍(伯爵)」Wikiより

 

なので、勇気とか勝利、といったイメージを呼び起こす、というところから連想して、勇気を持ってゴキブリに対処して、勝利しましょう、という意味があるんですね。

お正月の定番曲

そして、この「ラデツキー行進曲」は毎年、新年のお正月三が日にNHKで放送されるウィーン・フィル「ニュー・イヤー・コンサート」のプログラムの最後を飾る曲として、定番となっているので、耳にしている方も多いと思います。

獅子舞

曲中で手拍子を指揮

これが面白いことに、普通におとなしく演奏するのではなく、演奏の真っ最中に指揮者が観客に曲に合わせて「手拍子」することを促(うなが)すのです。

その「手拍子」のやり方も、大きく強く拍手したり、小さく静かに拍手したりさせる、言ってみれば「手拍子」による「演奏」を観客に向かって指揮する、という全員参加型の楽しい慣例になっているのでした。

「ラデツキー行進曲」 ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート

youtu.be

なぜ、そんな面白いことになっているのか、という「手拍子」の由来については、こちらに書きました。

ducksfly.hatenablog.com

「ニ長調」の秘密

また、「ラデツキー行進曲」は、「ニ長調」で作曲されています。

ChatGPT に聞いてみたところ、「ニ長調」はどうやら、「人を元気にする」調性らしいのです。

なので、「ラデツキー行進曲」は、元気に気合を入れて、でも、頑張らずにシュシュッとゴキブリたちに勝利しよう、という、このCMのコンセプトにぴったりの曲、ということになるんですね。

今回のお話

今回は、アース製薬「おすだけアースレッド無煙プッシュ頑張らないゴキブリ対策」のCMに使われている音楽は、ヨハン・シュトラウス一世作曲の「ラデツキー行進曲」であり、この曲をフィナーレの曲にしているウィーン・フィルの毎年のニューイヤーコンサートでは、普通のクラシックコンサートではあり得ない、曲の途中で観客の手拍子を指揮者が指揮する、という楽しい慣習があることがわかった、というお話でした。