- レディースアートネイチャー【フィーリン】「金沢紀行」編 60秒
- 謎その1)ねじれた二本の柱の門の名前は「鼓門(つづみもん)」
- 謎その2)長い烏帽子(えぼし)のようなかぶり物の、後ろ姿だけの武者は誰?
- 謎その3)椅子のデザインはなぜウサギ耳?
- 「月うさぎ」伝説
- 今回のお話
「レディースアートネイチャー【フィーリン】「金沢紀行」編 60秒」は、放送を終えて、現在は、こちらのCMに切り替わっています。
【フィーリン第4弾】「そして竹富」篇 60秒
以下は、ちょっと前に放送されていた「レディースアートネイチャー【フィーリン】「金沢紀行」編 60秒」についての記事です。
映像は削除されているので、見られませんが、ちょっとした「観光ガイド」くらいにはなるかな?と、記事は残しておくことにしました。
レディースアートネイチャー【フィーリン】「金沢紀行」編 60秒
いつもの仲良し二人組の森山良子さんと清水ミチコさん。
冒頭の「レディースアートネイチャー♪」のハモリも、上のメロディーラインが森山良子さん、下のメロディーラインが清水ミチコさんに聞こえますが、何と言っても、清水ミチコさんはモノマネ名人なので、だまされてはいけません。
それはともかく、このCMで印象に残るのは、CM冒頭のねじれた二本の柱の門と、長いかぶり物の後ろ姿だけが見える武者は誰なんだろう、ということですね。
それに、お二人がうさぎの耳デザインの椅子に座って、「あんな事、こんな事、しょんな(ぴょんな)事」と言いながらウサギ耳のマネをするのはなぜだろう、という疑問もあります。
3つの謎を解明します。
謎その1)ねじれた二本の柱の門の名前は「鼓門(つづみもん)」
石川県金沢駅の「兼六園口」から出て、すぐにあるのが、鉄骨ガラス張りの「もてなしドーム」。
なぜ「もてなし」なのかと言うと、金沢駅のある石川県は山陰地方にある県なので、雨や雪の降る天気の日が多く、降り立つ人が濡れないように、という心遣い、旅人に傘を差しかけるような「おもてなし」のためのドーム、というわけです。
公式ホームページより
そのさらに先にあるのが、この二本のねじれた柱が支える「鼓門(つづみもん)」です。
「鼓門」自体も、ガラス張り鉄骨を支えています。
全体の構造はこんな感じ。
公式ホームページより
金沢の伝統芸能である「能楽」で使われる鼓(つづみ)が二つ並べて置いてある、というイメージなんですね。
鼓(つづみ)はこんな楽器です。
wikiより
この、「鼓(つづみ)」の革(かわ)を引っ張っているオレンジ色のヒモのことを「調べ緒(しらべお)」と言ったり「調べ(しらべ)」と言ったりします。「調節」の「調」なので、ヒモの引っ張り具合を調節することによって、音色や音程を調節するわけです。
演奏法はこんな感じ。
和楽器 鼓(つづみ)
ちなみに、鼓(つづみ)と言うと、私の年代では思い出される曲があります。
酔いどれかぐや姫「南こうせつとかぐや姫」
作詞:阿久悠、作曲:南こうせつ
曲の途中で「ポン」とか「ポンポンポンポンポン」と鳴っているのが「鼓(つづみ)」の音です。
「ポン!」のあとに「お〜〜〜っ!」と掛け声が入りますが、「鼓(つづみ)」を演奏する際の「決まりごと」だそうです。
ちなみに、作曲家、筒美京平さんのペンネームの由来は「鼓」の「響き」が「平か」に広がるという意味から「鼓響平」になりかけたところ、縦書きで左右対称が縁起がいいと言われて、「筒美京平」になったそうです。
謎その2)長い烏帽子(えぼし)のようなかぶり物の、後ろ姿だけの武者は誰?
CMでは、見たこともない長いかぶり物をかぶって帯刀した武者の後ろ姿だけ、しかも下から見上げたショットなので、誰なのかさっぱり分かりませんね。
調べてみると、戦国時代の武将、石川県加賀百万石の初代藩主、「前田利家(まえだとしいえ)」でした。
かぶっているのは、金の「鯰尾兜(なまずおのかぶと)」です。
たしかに、なまずの尻尾のように、先に行くとぺったんこなんですね。
なまずの力にあやかる
なぜ「ナマズ」なのか。
なまずは、地震を起こすもの、大地を揺るがすほどの力を持っている、という言い伝えから、その大きな力にあやかろうという発想で、なまずの尾のような形の兜が作られたようです。
前田利家は、その残存する衣類から身長182cmと推定されるほど背が高く、馬に乗ってこの兜をかぶると相当目立ったろうと思われます。派手好きな性格、とも言われているので、さらに目立つように、金箔を貼って金色にしたんでしょうね。
やはり派手好きな性格である織田信長と相性が良く、よく連れ立って歩いていたそうです。
ちなみに、「なまず」は英語で「CATFISH」(キャットフィッシュ)つまり「猫魚」です。そのヒゲからの連想なんでしょうね。
なまずの絵は庶民の間でもお守りとか護符として大いに売れたそうです。
wikiより
こちらの錦絵では、新吉原の遊女たちが、お前の起こした大地震(安政の大地震)のおかげで商売上がったりだと、大なまずをよってたかってとっちめていますね。
謎その3)椅子のデザインはなぜウサギ耳?
森山良子さん、清水ミチコさんのお二人が座って、「あんな事、こんな事、しょんな(ぴょんな)事」と言いながら「うさ耳ポーズ」をしているのは、「金沢21世紀美術館」の中にある白い壁の前に並んでいる「ラビットチェア」です。
ラビットチェア
公式ページより
うさぎの耳をモチーフにしてデザインされていますね。
背もたれの「ウサ耳」の部分に微妙に角度がついていたりして、なかなか考えられた作りです。
このイスのデザインをしたのは、この金沢21世紀美術館の建物自体をデザインした同じチームなので、美術館のインテリアとよく調和しています。
なお、この金沢21世紀美術館は「スイミング・プール」という美術作品でよく知られています。
ガラス張りの天井に水が張られているのは水深10cmだけです。
それでも地上から見ると普通のプールなので、その下に人がいるとびっくりしますね。
「月うさぎ」伝説
さて、「ラビットチェア」という名前は分かったのですが、そもそもなぜ「ウサギ」なのでしょうか。
私はてっきり、石川県と同じ日本海側ということで、山陰、出雲地方の「因幡(いなば)の白うさぎ」伝説から来ているのかと思っていたら、石川県にはそれとは全く別の言い伝えがあるんですね。
助けてあげたウサギに恩返しされた、というお話ですね。
困った状況から助けて出してあげた動物に、今度は、自分が困ったときに助け返される、という「鶴の恩返し」とか「猫の恩返し」のようなパターンのお話ですが、「月にウサギ」という「月」の「付き物」を主人公にしたところがポイントですね。
「月」なので「ツキ」のお使い、というのもダジャレっぽくて良いと思います。
全国の「月読(つきよみ)神社」もウサギが神様の「お使い」になっています。
今回のお話
今回のお話はCM映像から出された「クイズ」の謎解きのようでしたね。
問題1)門の名前と由来は?
問題2)長いかぶりものの武者は誰?
問題3)ウサ耳イスの名前と由来は?
CM製作者も、さあ、これが何だか分かりますか?と、視聴者に問題を出しているような作り方をしていると思います。
私もまんまとその手に乗っていろいろ調べてしまったのですが、勉強になって良かったと思います。
これからもよろしくお願いします。
ちなみに、「あめ」ののれんが印象的な「俵屋さん」は、実際「飴」屋さんです。