- 「恋の季節」はリズム・アンド・ブルースである
- 両方とも「ボサ・ロック」のリズム。
- 気持ちの良いドラムス
- スキャットが入る
- ボーカルが女声である
- 詩の内容も似ている
- 「青空にとび出せ!」はテレビ主題歌
- 今回のお話
この曲、タイトルは「青空にとび出せ!」ですが、歌の中の歌詞では「青空へとび出そう」と、「に」が「へ」になっているので、気をつけて歌いましょう。
ピンキーとキラーズで、プロデューサー的立場の「いずみたく」さんが「参考にした」音楽グループは「スパンキーとギャング」なのですが、「いずみたく」さんが「目標にした」音楽グループは「セルジオ・メンデスとブラジル66」のような「ボサノババンド」ということでした。
そして、その目標を実現しているのが、この曲だと思います。
比較するのはその「セルジオ・メンデスとブラジル66」の「マシュ・ケ・ナダ」です。
では、詳しく見ていきましょう。
「恋の季節」はリズム・アンド・ブルースである
まず、「恋の季節」も「七色のしあわせ」も「風の季節」も、ボサノバではなく、リズム・アンド・ブルースだと思います。
ピンキーさんは「恋の季節」あたりは「演歌」という認識だったそうです。確かに、16歳なのに、姐御(あねご)のような節回しがあったりしますが、演歌とまでは行かないですね。
おそろいのコスチュームで、「リードギター」「サイドギター」「ベース」「ドラム」のロックバンド編成なので、どうしても「グループサウンズ」の方に傾くと思います。そして「ビートルズ」や「アニマルズ」などは「リズム・アンド・ブルースバンド」と呼ばれました。
ピンキーとキラーズの重厚なサウンドも「リズム・アンド・ブルース」向きだと思います。
両方とも「ボサ・ロック」のリズム。
さて、ここでセルジオ・メンデスとブラジル66の「マシュ・ケ・ナダ」を聞いてみましょう。
セルジオ・メンデスとブラジル66も「ボサノバ」というくくりでしたが、こちらもちょっと違うと思います。
「ボサノバ」は例えば、アストラッド・ジルベルトの「イパネマの娘」や「ワン・ノート・サンバ」のようにけだるく、暑さを避けて木陰で涼みながら気楽に歌ってるような、おしゃれなイメージの音楽ですね。
セルジオ・メンデスとブラジル66には、そのような優雅な「ボサノバ」より、もっとエネルギーがあります。ピンキーとキラーズにも熱量があります。
気持ちの良いドラムス
その点でも、この2つのバンドの曲「青空にとび出せ!」と「マシュ・ケ・ナダ」は似ています。特に曲のフレーズの区切りに入るドラムの「ドンストドドドン」という気持ちの良い音が両方に共通していますね。
ただ、「青空にとび出せ!」の方は、フルートなどが入るところが「ボサノバ」っぽい感じもしますね。
曲の途中で、フレーズががいったん区切りがついたところで、全ての音がストップ、一瞬のノリノリの「タメ」の間を取る、無音状態がある、というところも共通します。
スキャットが入る
スキャットも、ブラジル66の「オバー・オバー・オバー」に対して、ピンキーとキラーズの方は「パッパッパヤー・パッパヤー」で、十分対抗出来てます。
ボーカルが女声である
ボーカルもブラジル66の女性二人に十分対抗できています。何たって、一人で二人分のパワーがあるピンキーです。
詩の内容も似ている
「マシュ・ケ・ナダ」のほうは、もともとの作詞作曲はブラジルのジョルジ・ベンジョール(Jorge Ben Jor)という人で、「とっても素晴らしいサンバなんだから、踊りに行くのを邪魔しないでくれよ」という内容です。
なので、「青空にとび出せ!」もタイトルや内容的にも「素晴らしいところに行こう」という点で「マシュ・ケ・ナダ」と共通してると言えば言えますね。
どうでしょう、そう思って聴き比べてみると、両曲、似ているような気がして来ませんか?
「青空にとび出せ!」はテレビ主題歌
なお、「青空にとび出せ!」は、TBSテレビで放送された、ピンキーとキラーズが出演した30分番組のテーマソングです。水森亜土、加藤和彦、前田武彦といった、当時を知る人には懐かしい顔が登場します。
番組の中に出てくる「ピンキングカー」は、ビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」に出てくるバスだったり、当時の「フラワーチルドレン」のバスをイメージしたものですね。
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今回のお話
今回は、ピンキーとキラーズ「青空にとび出せ!」は、プロデューサーの立場の「いずみたく」さんが目標にしていた「セルジオ・メンデスとブラジル66」の、「マシュ・ケ・ナダ」に匹敵する「ボサロック」に仕上がっていた、というお話でした。