フジパン、スナックサンドのCM、森七菜(もりなな)さん出演の「スナックサンドものがたり」篇が、2022年7月1日から放映されています。
1975年生まれ 元祖・スナックサンドの歴史を、紙芝居をめくりながら伝える森七菜さん。紙芝居の中にスナックサンドが現れ、思わず手に取ります。えっ!?それはマジック?そして“パンのふわふわ”を実感しながら「わふぅ〜♡」とひとくち。さらに、もうひとくちと頬張っていきます。3拍子マーチ調『スナックサンドのうた♪』のキャッチーさと、サーカスのようなレトロ可愛い舞台で、歴史あるスナックサンドの「ふわふわ感」と、変わらない「おいしさ」をお届けします。おいしさ、その手に。しあわせな気持ちになれるCMです。
フジパン公式チャンネルより
流れる音楽が三拍子になっているのですが、前作のCMでは、四拍子でした。
こちらも森七菜(もりなな)さん出演の「早く食べたい」篇です。こちらは、2021年7月1日から放映されています。
す〜すすす〜すすスナックサンドです
ふわふわふんわかパンにこだわり具材
「ただいまサンド!」
「スナックサンド!」
たまごにピーナッツ、ツナ&マヨも〜
こだわり具材がたまりません
おいしさその手にらんらららん
「おかわり行きます!」
笑顔があふれてふふふふふ
「うん、おいしい!」
さあさあみなさまいかがです
めしあがれフジパンスナックサンド
「もう一個!」(キャンペーン中!)
森七菜さんは、アニメ「天気の子」の ヒロイン「天野陽菜」の声を担当しています。
このCMも、ちょっとアニメの一場面ふうの演出になっていますね。
森七菜さんの歌で、フジパンスナックサンドの歌詞が付けられていますが、この曲のメロディーに聞き覚えのある方は明治生まれ、大正生まれの方ではないかと思います。
そういう私は昭和生まれですが、なぜか聞き覚えのある曲です。そこで、この曲のルーツを探ってみました。
元歌は「東京節」
「この曲の元歌は1918年大正7年発表の「東京節」です。
この曲は「東京節」というタイトルよりも「パイのパイのパイ」という歌詞で有名になっています。「パイ」はフジパンの「パン」と似ていなくもないですね。
パンのパンのパン♪
この歌詞は、当時19歳の添田知道さんが、作家だった父親「添田唖蝉坊」とともに食堂のメニュー名を、歌詞として並べてみていたのがきっかけで出来ました。
と言うことは、同じく食品系である「フジパンスナックサンド」のCM曲の元歌としてはうってつけと言えますね。
謎だらけの歌詞
元歌詞「ラメちゃんたら」の「ラメ」はデタラメの「ラメ」だそうですが、「ラーメン」とも語感が似ています。「ちゃん」は「チャーハン」などが連想されます。「たら」は魚の「鱈(タラ)」の可能性はありますが、デタラメの「タラ」かも知れません。
そこから転じて、「〇〇ちゃんたら〇〇なんだからあ」、と言う場合の「たら」のニュアンスになっていますね。
「ぎっちょんちょん」
「ぎっちょんちょん」は、虫の鳴き声が元になっているというお座敷唄のおはやし言葉をそのまま持ってきたらしいですが、そのお座敷唄の歌詞を見ると、なにやら摩訶不思議な感じもします。
「パイのパイのパイ」
「パイノパイノパイ」は、アップルパイやらピーチパイ、バナナパイというのもある「パイ」のことなのかどうなのか。
「パリコとパナナで」
「パリコ」は「パン粉」のことかも知れず、「パナナ」は「バナナ」のことかも知れません。
また、「パリコ」は当時世間の話題になっていた、日本も戦勝国として参加した、「パリ講和条約」(1919年)という固い言葉の最初の三つの音から、あるいはその講和会議の開催地であるパリの「パリっ子」から来ている、という説もあります。
「フライフライフライ」
「フライフライフライ」も、食堂での「フライ」なのでしょうが、何か他にも意味がありそうでフカヨミしてしまいます。
こうやって見るとなんだかよくわからない、謎だらけの歌詞ですが、そのぶん、ああだろうか、こうだろうかと考えるのが楽しいですね。
さらなる元歌は「ジョージア行進曲」
さて、そういうわけで日本語の歌詞がついているのですが、実はこの曲のメロディー、もともとは、アメリカ南北戦争時の北軍の「ジョージア行進曲」という「行進曲」です。第一次世界大戦で当然アメリカ軍で使われて、それが日本でも流行りました。
なぜジョージア?
なぜジョージアかというと、ジョージア州が、黒人居住率が高く、奴隷制保持の南軍と奴隷制廃止の北軍の対立の原点であり、南北戦争の主な舞台となったからです。
ジョージア州を突破すれば、北軍の勝利だったので重要な州だったわけです。
ジョージア州にはスワニー川も流れていたので、フォスターの名曲「スワニー川」も行進曲になっています。
行進曲は陽気で調子良い
「ジョージア行進曲」というタイトルのアメリカの軍隊の行進曲だ、と思って聞いてみると、やたら調子よくて元気なメロディーなのも、なるほどそれらしいと納得できます。
行進曲は移動する
日本語の歌詞の内容が、東京のあちらこちらを回って歩くという、つまり「行進」する設定の内容になっているのも、この「行進曲」の曲想にぴったり合う内容になっていて自然な流れですね。
のちになって、もろ「行進曲」という言葉の入った「東京行進曲」というヒット曲も出ますが、この曲の歌詞も、都内のあちこちの地名を回る、つまり行進する歌詞になっています。
今回のお話
今回は、森七菜さんが歌うフジパンの「スナックサンド」の歌のルーツをたどってネットを行進してみたら、大正時代の「東京節」にさかのぼり、さらにアメリカ南北戦争の北軍行進曲「ジョージア行進曲」にたどり着いた、というお話でした。
行進はしてみるものですね。何らかの発見があるものです。
近所のスーパーに行く、たった5分のいつもの道を歩くのだって、「行進」に違いありません。
この曲を口ずさみながらスーパーに行って、思わず「フジパンのスナックサンド」を買ってしまったとしたら、それは森七菜さんのせいです。