※現在、このCMは放送されていません。出演者の「契約期間終了」ということなのかも知れません。代わりに草なぎ剛さん、郷ひろみさん版が放送されています。杉咲花さんと飯尾和樹さんの新しいバージョンが放送される可能性もありますので、その際はまた改めて映像をご紹介させて頂きます。
草なぎ剛さん、郷ひろみさんの版はこちらです。メイキング映像つきです。
以前のCM版では、女優の杉咲花さんと、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹さんが出演していて、「ラプソディ・イン・ブルー」がCM曲として使われていたので、その曲について考察しました。
汗に反応して消臭成分が働く、という花王ハミング「消臭実感」についてはこちら。
なぜ「ラプソディー・イン・ブルー」?
このCMに使われていた曲は「ラプソディ・イン・ブルー」という、アメリカの作曲家「ジョージ・ガーシュイン」の曲です。分類としては、「交響曲のようなジャズ」ということで、「シンフォニックジャズ」とか「オーケストラルジャズ」という呼ばれ方をしています。
こちらでピアノを弾いているのが、「ガーシュイン」です。
はて、なぜ消臭剤のCMに「ラプソディ・イン・ブルー」なのだろう、と思ったあなたは、CM製作者とお友達になれそうです。
「狂詩曲・ブルー調」?
例えば「ラプソディー・イン・D」となると、「狂詩曲・ニ長調」と訳されるところですが、「ブルー」なので、「狂詩曲・ブルー調」ということになりますね。
「ブルー」は「ブルーノート」というジャズ特有の音階「ブルーな気分にさせる音」という音楽用語の意味から「ジャズそのもの」を象徴する言葉になっています。
なので、「ラプソディ・イン・ブルー」は「ジャズ的な狂詩曲」という意味になります。
もう一つの名曲
さて、花王の「ハミング消臭実感」による爽やかさは「ブルー」なイメージなので「ラプソディ・イン・ブルー」なのでしょうか。
確かに、そのイメージで完結しているようですが、実はもうひとひねりが効いています。
夏といえば、の名曲「サマータイム」
「ジョージ・ガーシュイン」で思い出させる有名な曲がもう一曲あります。
そうです。
「サマータイム」
この曲はオペラ「ポーギーとベス」の中で3回歌われる子守唄です。
「季節は夏だし、父親は金持ちだし、母親は美人だ」
というフレーズがあるのですが、最初は、それが事実のとき、2回目は、それが事実でなくなったとき、3回目はその子供が大きくなったとき、と、歌われるシチュエーションによって、同じ歌詞が違う意味合いに変化して行く、という、深く考えさせられる内容になっています。
そのため、この曲単独で歌われたり、演奏されることも多いですね。
出典
この曲はのちに、伝説のロックシンガー「ジャニス・ジョプリン」の、魂を絞り出すような、強烈な歌唱によって一躍有名になりました。
「ジャニス・ジョプリン」は映画「ローズ」によってその生涯が描かれています。
花王ハミング「消臭実感」は汗をかく季節、つまり「夏」向きの商品CMなので、「サマータイム」なのですね。
なるほどお!
ここでようやく、花王ハミング「消臭実感」のCM曲が「ラプソディ・イン・ブルー」だったことが腑に落ちました。
「サマータイム」を、そのまま出すのはあまりにベタ、かつCM曲にするには深刻すぎるかも知れない歌なので、ちょっとひねって、同じ作曲家のもうひとつの有名な曲にしよう、ということで「ラプソディ・イン・ブルー」になったのではないかと、私は推測します。
今回のお話
今回は、花王ハミング「消臭実感」、以前の版のCM曲が、なぜ「ラプソディ・イン・ブルー」なのかを探ったら、裏にちゃんと、「サマータイム」という、「夏」をテーマの大きな曲が隠れていた、というお話でした。
表が「ラプソディ・イン・ブルー」で「陽」の曲、裏に隠れているのが「サマータイム」で「陰」の曲、というわけで、バランスが取れているんですね。