一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

「国松さまのお通りだい!」の「ハリスの旋風(かぜ)」の「ハリス」って何?

アメリカ大統領選での「ハリス旋風」

アメリカ大統領選ではバイデン大統領が出馬をあきらめたので、次世代の大統領候補として、あの「テイラー・スウィスト」氏も支持を表明した「カマラ・ハリス」氏が旋風を巻き起こしているようですね。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/41/Kamala_Harris_Vice_Presidential_Portrait.jpg/480px-Kamala_Harris_Vice_Presidential_Portrait.jpg

Kamala Harris Wikiより

「ハリス」の由来

「ハリス(Harris)」は「ハリーの息子(Harry-son)」という意味です。

「ハリー(Harry)」は「ヘンリー(Henry)」のことで、「ヘンリー」はフランス語の「アンリ(Henri)」から来ていて、「アンリ」はラテン語の「ヘンリクス(Henricus)」から来ています。

その「ヘンリクス」はドイツ語の「ハインリッヒ(Heinrich)」から、「ハインリッヒ」は古いドイツ語の「ハイムリッヒ(Heimerich)」から来ていて、この最初の形である「ハイムリッヒ」は「家の支配者」「家長」という意味でした。

つまり、「ハリス」は「家の支配者の息子」、「家長の息子」という意味だということになります。「ハリスン(Harrison)」も同じ意味です。

「カマラ」の由来

ちなみに「カマラ」の方は、ヒンズー教の「美と富と豊穣と幸運」の女神「ラクシュミー」の別名、サンスクリット語の「カマラ(蓮の女性)」から来ています。

仏教では「吉祥天」、神道では「弁財天」になったという説もあります。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/7b/Ravi_Varma-Lakshmi.jpg

ラクシュミー(カマラ)wikiより

ラクシュミー(カマラ)は、蓮(ハス)の花の上に乗っているので、貝がらの上に乗っている「ビーナス」も連想させますね。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/0b/Sandro_Botticelli_-_La_nascita_di_Venere_-_Google_Art_Project_-_edited.jpg/800px-Sandro_Botticelli_-_La_nascita_di_Venere_-_Google_Art_Project_-_edited.jpg

ボッティチェッリ「ヴィーナスの誕生」Wikiより

さて、そんなおめでたい名前を持つカマラ・ハリス氏がアメリカ大統領選で巻き起こした旋風、ということで「ハリス旋風(せんぷう)」というわけです。

「ハリスの旋風(かぜ)」主題歌

この「ハリス旋風(せんぷう)」という言葉を聞いて、日本のある程度の年齢の上の世代が連想するのは「ハリスの旋風(かぜ)」。

「ハリスの旋風(かぜ)」は、漫画雑誌『週刊少年マガジン』に、1965年から1967年にかけて連載された「ちばてつや」氏執筆の漫画で、テレビアニメも1966年から1967年までフジテレビ系列局で全70話、モノクロで放送されました。

主人公の声は「ドラえもん」の声で知られる「大山のぶ代」さんでした。

[Harris no Kaze / ハリスの旋風] (1966) 第15話
「よらばきるぞ、えーいっ!」

youtu.be

「ドンガードンガラガッタ」で始まる「ハリスの旋風(かぜ)」主題歌の歌詞はこちらです。

www.uta-net.com

「ちばてつや」は「矢吹丈(やぶきじょう)」が主人公の「明日のジョー」の作者でもあるので、「ハリスの旋風(かぜ)」の主人公「石田国松(いしだくにまつ)」は「矢吹丈(やぶきじょう)」の子供時代、というイメージですね。

「ハリスの旋風(かぜ)」の方から入った私には「明日のジョー」は、子供だった「石田国松(いしだくにまつ)」が成長して、手足がやたら伸びたんだなあ、というふうに見えました。

「ハリス」はお菓子メーカー

「ハリス」は1952年設立のお菓子メーカーで、このテレビアニメもスポンサーとして提供していたのですが、「カネボウ」に吸収されてしまいました。

また、当時テレビと漫画雑誌のタイアップ企画が多く、「ハリスの旋風」の場合も、チューインガムで有名な会社「ハリス」がスポンサーになることが前もって決まっていました。

そこで、主人公「石田国松(いしだくにまつ)」が通う学校の名前を、スポンサーの社名「ハリス」を取り入れて「ハリス学園」ということにしたわけです。

そして、その「ハリス学園」で、主人公が良くも悪くも旋風を巻き起こす、という設定にして、雑誌掲載の方を先行して作品を発表して行ったのです。

テレビのアニメ版は雑誌掲載の後追い、というスタイルでした。

「ハリス学園」園長先生の名前は

主人公「石田国松(いしだくにまつ)」が入学して、各運動部に入部して、それぞれの部で全国大会優勝を果たすという設定の「ハリス学園」を創設したのは、初代園長「バームクーヘン・ハリス」でした。世界各国に姉妹校を持っています。

2代目園長は日本人ですが、会長には初代園長の孫、「カスタードプリン・ハリス」が就任しています。

菓子メーカー「ハリス(Haris)」命名の由来は?

それではスポンサー企業であるお菓子メーカーの「ハリス」の命名の由来はそもそも何かというと、幕末の初代駐日公使「タウンゼント・ハリス(綴りはHarris)」の名前から来ているそうです。

ペリーのすぐ後に来日して「日米修好通商条約」を結んだり、唐人お吉(斎藤きち)を雇用したりと、日本とアメリカを結ぶ重要人物だったんですね。

「ハリス」の「リス」を取って、会社のシンボルマークにしていました。

下の写真では、もうカネボウに吸収されている時代なので、リスがカネボウ(鐘紡)の「鐘(カネ)」と一緒に描かれています。

「ハリス」の製品が描かれているのが「マッチ箱」だというのも、時代を感じさせますね。

aucview.com

今回のお話

今回は1966年頃にテレビ放送されたアニメ「ハリスの旋風(かぜ)」の「ハリス」の由来についてお話しました。

なお、「旋風(せんぷう)」と書いて「かぜ」と読ませているのですが、「旋風(せんぷう)」とは、「風が旋回する」という意味から「つむじ風」のことを言います。

「つむじ風」が大きくなると「竜巻(たつまき)」になり、さらに大きくなると「台風」になります。

そんな「旋風」の特性、つまり周辺にあるものを巻き込んで、クルクル回しながら上空にまで吹き飛ばしてしまう、という特性から、それを人間にも当てはめて、周りの人たちを巻き込んで翻弄する人の事を言ったりします。

なので、「ハリスの旋風(かぜ)」とは、ハリス学園で周囲の部員などを巻き込みながら上空まで吹き上げて全国大会で優勝してしまう、という主人公「石田国松(いしだくにまつ)」のストーリーを象徴しているわけですね。

ただ、スポンサーの「ハリス」が、ベビーブームに乗って、つむじ風のように世間を席巻した後、やはりつむじ風のように呆気なく消えてしまったのは残念なことでした。