一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

イーディー・ゴーメ「Gift(ギフト)」は「贈り物」で、原曲の「Recado」(リカード)は「伝言(ことづて)」のこと

 

Eydie Gormé(イーディー・ゴーメ)The Gift「ギフト」

Eydie Gormé(イーディー・ゴーメ)の「Blame It on the Bossa Nova」が入っている同名のアルバム「Blame It on the Bossa Nova」を全曲聴いてみました。

特に印象に残ったのは、やはりこの曲ですね。

The Gift「ギフト」贈り物。

なお、「ギフト」と「プレゼント」の違いは、「ギフト」はフォーマル、「プレゼント」はカジュアル、なんだそうです。

 

「Blame It on the Bossa Nova(恋のボサノバ)」のレコーディングでは手を抜いたというイーディー・ゴーメが、手を抜かずに歌った「The Gift(ギフト)」。

繰り返しの部分の「 sweet 」が、ロングトーンで本当に甘くて「スイート」な感じなのが良いですね。

それに「love」の発音も良いと思います。

Eydie Gormé(イーディー・ゴーメ)The Gift「ギフト」

youtu.be

Gift(ギフト)英語歌詞と日本語訳

No strings have pearls in a velvet glove
ベルベットの手袋に落ちた真珠は、糸でつながなくても大丈夫

The thing I long for is the gift of love
私が本当に欲しいのは愛の贈り物

 

No ring of gold but a dream to unfold
ゴールドの指輪じゃなくて、解き放たれる夢

When all the stars have flown and we′re alone
その時、全ての星たちは飛び去り、私たちしかいなくなる

 

The gift of love is a precious thing
愛の贈り物は特別なもの

A touch of magic on a day in spring
春の日のちょっとした魔法のようなときめき

 

The golden dream every dreamer pursues
夢見る人なら誰もが追い求める、黄金に輝く夢

Remember darling, never refuse the gift of love
覚えておいてよダーリン、決して愛の贈り物を拒否してはダメ

 

【ここから繰り返し】

 

For love can be a melody that lingers
なぜなら、愛はいつまでも続いて行くメロディーになれるかも知れないし

Or slip like April wine right through your fingers
あるいは4月のワインのようにサラッと、あなたの指の間をすり抜けてしまうかも知れない

 

So kiss me sweet till our secret star
だから、私に甘〜くキスしてよ、私たちの秘密の星が

Illuminates the way to Shangri-La
楽園へ通じる道を明るく輝かせてくれるまで

 

Whatever fate may befall all I know
どんな運命が降りかかって来ても、私に分かっているのは、

Is that the gift of love  is the greatest gift  of all
愛の贈り物があらゆる贈り物の中で、一番素敵な贈り物だってこと

 

【繰り返しここまで】

 

...What of all
...何よりも、ってこと

 

...Ah! That's all
...ああ、それがすべて、ってこと

 

 

作詞:Paul Francis Webster(ポール・フランシス・ウェブスター)
作曲:Djarma Ferreira(ジャルマ・フェレイラ)

この曲の歌詞1行目の

No strings have pearls in a velvet glove
ベルベットの手袋に落ちた真珠は、糸でつながなくても大丈夫

は、「真珠である私」は、もうすでに、肌触りが良くて暖かくて、居心地の良いベルベットの手袋のようなあなたの中に包み込まれているのだから、つなぎ留めるための糸はいらないよ、という意味だと解釈しました。

「つなぎ留めるための糸」は、例えば「金の指輪」、というわけです。

Recado(伝言)

そして、この曲の原曲は「Recado(伝言)」という、1959年ブラジルでヒットしたポルトガル語の曲なんですね。

アメリカの Paul Francis Webster が英語の詞を付けて、Eydie Gormé ( イーディ・ゴーメ ) が「The Gift」というタイトルで歌って大ヒット、というわけです。

そして、こちらが、そもそものポルトガル語の原曲、作曲者本人のジャルマ・フェヘイラが、自身の「Djalma Ferreira e Seus Milionários do Ritmo(「ジャルマ・フェヘイラと彼のリズムの億万長者たち」)」という素敵な名前のグループで、1959年に録音したオリジナルです。

Djalma Ferreira e Seus Milionários do Ritmo「Recado」

youtu.be

「Recado」ポルトガル語歌詞と日本語訳

Recado
伝言

Você errou quando olhou pra mim
あなたは間違いを犯したのです、私を見つめた時に、

Uma esperança fêz nascer em mim
「希望」を私の中に芽生えさせてしまったから。


Depois levou pra tão longe de nos
それから(希望は)私たちからずっと遠くへ行ってしまった、

Seu olhar no meu, a sua voz.
私の瞳に残るあなたの眼差しも、その声も、すべて連れて。

 

Você deixou sem querer deixar
あなたは去らなければならなかった、

Uma saudade enorme em seu lugar
あなたの代わりに、あまりにも大きな「サウダージ(甘く切ないメランコリー)」を残して。

 

Depois nós dois cada qual a mercê do seu destino
それから私たち二人は、それぞれの運命のなすがまま、

Você sem mim eu sem você
あなたは私なしで、私はあなたなしで。

 

Saudade, meu moleque de recado,

サウダージ(切ない)よ、お前は私の「使い走りの伝言小僧」なんだから……

Não diga que eu me encontro nesse estado.
あの人のところへ行っても、私がこんな切ない想いに沈んでる状態だなんて、絶対に言いつけちゃダメだよ。

 

【間奏】

 

Saudade, meu moleque de recado,

サウダージ(切ない)よ、お前は私の「使い走りの伝言小僧」なんだから……

Não diga que eu me encontro nesse estado.
あの人のところへ行っても、私がこんな切ない想いに沈んでる状態だなんて、絶対に言いつけちゃダメだよ。

 

Você errou quando olhou pra mim
あなたは間違いを犯したのです、私を見つめた時に、

Uma esperança fêz nascer em mim
「希望」を私の中に芽生えさせてしまったから。


Depois levou pra tão longe de nos
それから(希望は)私たちからずっと遠くへ行ってしまった、

Seu olhar no meu, a sua voz.
私の瞳に残るあなたの眼差しも、その声も、すべて連れて。

 

Você deixou sem querer deixar
あなたは去らなければならなかった、

Uma saudade enorme em seu lugar
あなたの代わりに、あまりにも大きな「サウダージ(甘く切ないメランコリー)」を残して。

 

Depois nós dois cada qual a mercê do seu destino
それから私たち二人は、それぞれの運命のなすがまま
それぞれの運命を(生きていく)・・、

Você sem mim eu sem você
あなたは私なしで、私はあなたなしで。

 

作詞:Luiz Antônio(ルイス・アントニオ)
作曲:Djarma Ferreira(ジャルマ・フェレイラ)

この歌詞でのポイントは、タイトルの「伝言」という言葉と、歌詞に出て来る「サウダージ」という言葉ですね。

Recado(リカード)=伝言、とは

この曲「Recado(伝言)」の歌詞の内容は、自分と別れてしまった恋人に、自分の今のサウダージ(甘く切ないメランコリー)な想いを伝えたい気持ちがあるものの、自分がこんなに切なくて落ち込んでいる事は、伝言してもらいたくない気持ちも、またあるのだ、という裏腹な思いを歌っているんですね。

私は「伝言つながり」で、内容としては「ジョニーへの伝言」での「伝言」と似ているかな、と思いました。

「ジョニーへの伝言」の歌詞のラストはこうなっています。

ジョニーが来たなら

伝えてよ

2時間待ってたと

サイは投げられた

もう出かけるわ

私は私の道を行く

友達なら そこのところ

うまく伝えて

うまく伝えて

 

阿久悠作詞
都倉俊一作曲
高橋真梨子歌唱

この歌詞の中の、「うまく伝えて」ほしい「そこのところ」という、「言うに言えない気持ち」を「うまく」伝言している、伝えているのが、この曲「Recado(伝言)」のような気がしたのです。

伝言小僧(メッセンジャーボーイ)とは

当時の南米ブラジルの街角では、手紙や伝言を届けて回った「使い走りの少年、伝言少年」が実際にいたそうなんですね。

中米のヒット曲「ある恋の物語」のミュージックビデオにも、それはこんな感じだったのかな、という少年少女が出て来ます。

 

Recado(伝言)の歌詞の中の、

Saudade, meu moleque de recado

の後ろの部分、

meu moleque de recado,

が、「私の伝言小僧」なのですが、その前にある

Saudade,

これを私は「切ないよ」あるいは「寂しいよ」という自分の気持ちの表明、と解釈したのですが、これを「切なさ」と読んで、その「切なさ」自体が「私の伝言小僧」なのである、という解釈も可能なんですね。

「切なさ君、私の伝言小僧君」

というわけです。

Saudade(サウダージ)=切なさ、とは

さて、そもそも「Saudade(サウダージ)」とはどういう意味か、ですが、この言葉には色々な意味やニュアンスが含まれていて、守備範囲がめっぽう広い言葉のようなのです。

一言で説明できる日本語、あるいは他の国の言葉も存在しない、と言われるほど。

まあ、これが翻訳の難しいところで、「A=B」というふうに単純に「ポルトガル語=日本語」というふうに等記号で対称的には置き換えられないんですね。

言葉はそれぞれの文化の物の見方、世界を見る解釈の仕方、切り取り方なので。

解説によると、Saudade(サウダージ)とは、二度と戻らない、当時は輝いていたけれど、今はないもの、失われたもの、過ぎ去った時間や場所、幼い頃の記憶、会えない人、などを恋しく、懐かしく思う気持ち、切なくも甘美な郷愁、思慕の情にひたるメランコリーな気持ち、とまあ、なかなか複雑な心理状態なんですね。

「サウージ・サウダージ」

「サウージ・サウダージ(SAÚDE! SAUDADE)」という、FM放送の「J-WAVE」の1988年の開局時からいまだに続いている音楽番組があるのですが、そんなに長寿番組になったのは、日曜日の夕方5時から、という放送時間設定が見事にハマったから、と言うんですね。

www.j-wave.co.jp

日曜日の夕方5時と言えば、楽しく過ごした休日ももう終わりで、明日の学校のこと、仕事のことを考え始める時間、そんな時には、楽しかったことを思い出しながらも、そこはかとないメランコリーな気分になりますね。

そんな時には、メランコリーな気分を癒してくれる、例えばブラジルのボサノバなど聴きたくなりませんか?

そんな気分が「サウダージ」なのです、というわけですね。

番組の解説は以下のとおりです。

健康、乾杯のあいさつをあらわす言葉「サウージ」。懐かしさ、郷愁、人恋しい想いをあらわす言葉「サウダージ」。この2つのポルトガル語をキーワードとして、ブラジルをはじめ、フランスなどのヨーロッパ、そしてラテンアメリカをめぐる音楽の旅にご案内します。J-WAVE開局当時から続く定番プログラムです。

J-WAVE」より

今回のお話

今回は、Eydie Gormé(イーディー・ゴーメ)のThe Gift「ギフト」と、その元曲のRecado(リカード)を読み比べてみました。

こうやって歌詞を読み比べて曲を聴き比べてみると、The Gift「ギフト」の方は恋の始まりの甘い歌で、Recado(リカード)の方は恋は終わってしまった切ない歌に聞こえますね。

それぞれがその歌詞の内容にピッタリなメロディーに聞こえます。

ということは、原曲のメロディーそのものが「サウダージ」という言葉の持っている、「甘さ」と「切なさ」が同時に存在する、という特質を、みごとに体現しているメロディーだ、ということなんでしょうね。

ちなみに、Bossa Nova (ボッサ・ノヴァ)は、ポルトガル語で「新しい感覚」「新しい波」を意味するそうです。

Nova (ノヴァ)が「新しい」ですね。