定番は「ジャクリーヌ・フランソワ」
フランス、シャンソンの名曲「パリのお嬢さん(Mademoiselles de Paris=マドモワゼル・ド・パリ)」と言えば、ジャクリーヌ・フランソワ(Jacqueline François)さんの歌で知られていますね。
なぜかと言うと、この曲は1948年のフランス映画 "Scandale aux Champs-Elysées"(「シャンゼリゼでのスキャンダル」、公開時の邦題「パリのスキャンダル」)の劇中歌として、彼女が歌ったからなのです。
この曲は、パリの「リヴォリ通り」に立ち並ぶ、いわゆるオートクチュール(高級仕立服)店の裏側を支えている、無名の女性職人たち(「小さな手」を意味する 「petite main(プティト・マン)」と呼ばれます)の生活を唄った歌です。
上の映像の中に日本語訳も出るのですが、この映像を見る前に翻訳してしまったもので、一応私の訳文も書いておきます。
Mademoiselle de Paris 歌詞
パリのお嬢さん
On l'appelle Mademoiselle de Paris
人は彼女をパリのお嬢さんと呼ぶEt sa vie c'est un petit peu la nôtre
そして彼女の人生、それはちょっとだけ、私たちの人生でもあるSon royaume c'est la rue d'Rivol
彼女の王国、それは「リボリ通り」
Son destin, c'est d'habiller les autres
彼女の運命、それは人に服を着せること
On dit qu'elle est petite main
人は彼女を裏方のお針子さんだと言うEt s'il est vrai qu'elle n'est pas grande
そして、もし彼女が表に出ないことが本当だとしてもQue de bouquets et de guirlandes
どれほどのブーケや花飾りをA-t-elle semés sur nos chemins.
彼女は振りまいてくれただろう、私たちの進む道の上にね
Elle chante un air de son faubourg
彼女は彼女の住む下町の歌を口ずさむElle rêve à des serments d'amour
彼女は「愛の誓い」を夢にみるElle pleure et plus souvent qu'à son tour
彼女は泣くんだ、人並み以上にねMademoiselle de Paris
パリのお嬢さんはね
Elle donne tout le talent qu’elle a
彼女は才能の全てを捧げるんだPour faire un bal à l'Opéra
オペラ座の舞踏会の衣装を作るためにね
19世紀パリオペラ座の仮面舞踏会 Et file, à la porte des Lilas
そして急ぐんだ、彼女が住んでる「リラの門」街区へ
Mademoiselle de Paris
パリのお嬢さん
Il fait beau
いい天気だEt là-haut
そしてあの高いところでElle va coudre un cœur à son manteau
彼女はハートを縫い付けるのさ、彼女のマントにね
Mais le cœur d'une enfant de Paris
でも、パリの女の子の心はC'est pareil aux bouquets de violettes
スミレのブーケみたいなものOn l'attache au corsage un samedi
土曜日にそれを胸に付けてLe dimanche on le perd à la fête
日曜日のお祭りでそれを無くしてしまう
Adieu guinguette, adieu garçon
さよなら、ダンスホール、さよなら、男の子La voilà seule avec sa peine
彼女はほら、つらい気持ちを抱えて一人ぼっちEt recommence la semaine,
そして、また始まる、1週間が、Et recommence la chanson
そして、また始まる、この歌がね
Elle chante un air de son faubourg
彼女は彼女の住む下町の歌を口ずさむElle rêve à des serments d'amour
彼女は「愛の誓い」を夢にみるElle pleure et plus souvent qu'à son tour
彼女は泣くんだ、人並み以上にねMademoiselle de Paris
パリのお嬢さん
Elle donne un peu de ses vingt ans
彼女は捧げる、自分の二十歳の若さを少しだけPour faire une collection d'printemps
春のコレクションを作るためにね
Et seule s'en va rêver sur un banc
そして、一人で夢見るためにベンチに行くMademoiselle de Paris
パリのお嬢さんは
Trois petits tours
3回、小さくターンしてから、Un bonjour
1回「こんにちは」をすれば、それでElle oublie qu'elle a pleuré d'amour
彼女は、愛のために泣いたことを忘れるのさ
Elle vole à petits pas pressés
彼女は飛んで行く、小走りに急いでElle court vers les Champs Elysées
彼女はシャンゼリゼ通りへと駆けていく
Et donne un peu de son déjeuner
そして捧げるのさ、彼女のランチをちょっとだけね
Aux moineaux des Tuileries
スズメたちにね、チュイルリー公園のさ
Elle fredonne
彼女はハミングをしてElle sourit...
彼女は微笑むんだ、、、Et voilà Mademoiselle de Paris.
そして、ほら、それが、パリのお嬢さんなのさ
作詞:
アンリ・コンテ(Henri Contet)
作曲:
ポール・デュラン(Paul Durand)
「エド・サリバン・ショー」の「ジャクリーヌ・フランソワ」
こちらは「ジャクリーヌ・フランソワ」が、アメリカの名物テレビ番組、「エド・サリバン・ショー」に出演した時の映像です。
日本では、半世紀以上前の昔は、外国人歌手が歌っている映像を見ることは皆無、と言ってもいいくらいの時代でした。
インターネットが当たり前になった現在、当時はラジオで名前と声だけでしか知らなかった外国人歌手の映像を、YouTubeでいつでも見られるようになったので、いい時代になったものだとつくづく思います。
実際に動く映像として見るジャクリーヌ・フランソワさんは、とても表情豊かで、魅力的ですね。
歌詞は、オリジナルとはちょっと違っています。
Jacqueline François "Mademoiselle De Paris" on The Ed Sullivan Show
女声コーラスによる「マドモワゼル・ド・パリ」
というわけで、「マドモワゼル・ド・パリ」と言えば「ジャクリーヌ・フランソワ」の歌唱が定番なのですが、私が若い頃、もう50年以上前になりますが、フランス語を勉強していた頃に、NHKラジオのシャンソンを流している番組をよく聞いていて、そこで紹介されて流れていたのは、女声コーラスによる「パリのお嬢さん(Mademoiselles de Paris=マドモワゼル・ド・パリ)」だったのです。
そこで歌っていたのは、高校生くらいの声かなと思われる女声のコーラスで、その爽やかで美しい歌声にのせたメロディーとハーモニーは、私のパリへの憧れを大いに醸成してくれたものです。

その曲がネット上にないものかと、時々YouTube界隈を探していましたが、ずっと見つからずにいました。
ところが、今になってようやく見つかったのです。
50数年ぶりの再会で感動しました。
歌っているのは1960年代に活躍したLes Djinns (レ・ジン)という名前のコーラスグループ でした。
Les Djinns (レ・ジン)とは、「アラジンと魔法のランプ」のランプの妖精「ジーニー」のような「精霊たち」あるいは、「魔人たち」という意味だそうです。

Les Djinns (レ・ジン)「Mademoiselles de Paris(マドモワゼル・ド・パリ)」
Les Djinns(レ・ジン)は、フランスの「宝塚」か「AKB48」か
解説によると、女性コーラスグループ「Les Djinns(レ・ジン)」は、フランスの合唱団で、9 歳から 18 歳までの 60 人の少女で構成されていました。
1959 年、フランス政府は、国内のラジオおよびテレビ業界への演奏人材の供給を確保するために、女子生徒に音楽科目を指導する「マスター スクール」を組織。

「マスタースクール」では、女子生徒は午前中に標準的な学問科目のカリキュラムをこなし、午後に音階、発声技術、ハーモニー、合唱発声などの音楽コースを受講。

「マスタースクール」卒業後に、彼女たちはコーラスグループ 「Les Djinns (レ・ジン)」に入ることになります。
この辺のシステムは、日本の「宝塚」などに似てますね。
女子の大人数コーラスグループ、ということでは「AKB48」などにも似ているかも。
今回のお話
今回は、「マドモワゼル・ド・パリ」を、その創唱者である「ジャクリーヌ・フランソワ」と、女声コーラス「レ・ジン」の歌唱で聴き比べてみました。
「ジャクリーヌ・フランソワ」は、もはや貫禄で、言ってみれば客観的に物事が見られる「親」の世代。
落ち着いた声と歌い方なので、安心して聞けますね。
一方、女声コーラスグループ「レ・ジン」の方は、歌に歌われている「パリのお嬢さん」と同年代の、言ってみれば当事者感のある女の子の世代が歌っている、ということで、とてもリアルに訴えかける「説得力」があるように思います。





