一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

「文句があるならボサノバに言って!」「Blame It on the Bossa Nova」(邦題:恋はボサノバ)」の意味は?

イーディ・ゴーメが歌う「恋はボサノバ」

「イーディ・ゴーメ(Eydie Gormé)」が歌う「Blame It on the Bossa Nova」の日本語タイトルは「恋はボサノバ」。

この曲がヒットした1963年頃は、外国曲に日本語タイトルを付ける際の流行りだったのか、タイトルの頭に「恋の」が付く曲が多かった時期でした。

「恋のゴーカート」、「恋のパームスプリング」、「恋の特効薬」、日本でも「恋のバカンス」などなど。

この「恋はボサノバ」という日本語タイトルも、その流れに沿ったものだと思われます。

「文句があるならボサノバに言って」とは?

しかし、この曲の原題は「Blame It on the Bossa Nova」なので、直訳すると、「文句があるならボサノバに言って!」ということになるのだけど、はてさて、どんな文句なのだろう。

というところで、原語である英語の歌詞を訳してみることにしました。

こちらはアメリカの女優カレン・ヴァアレンタイン、16歳でデビュー当時の1963年11月10日のエド・サリバン・ショーでのパフォーマンス。

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カレン・ヴァアレンタインの躍動するパフォーマンスが元気いっぱいで、しかも歌もオリジナルのイーディー・ゴーメなみにうまいものだと思いましたが、これはなんとリップシンク、つまりいわゆる「口パク」なのでした。

エドサリバンショーでは歌手による歌や演奏など、生(ナマ)でのパフォーマンスが主ではありましたが、時々、会場で前もって演奏や歌唱をしたものを録音して、それに合わせて出演者が演奏するフリ、歌うフリをしていた事もあったのでした。

私もそれを知って、なるほど、それで、ビートルズが他の番組(Shindig!)でしたがI'm A Loser をパフォーマンスした時に、あれっ?ジョンがハーモニカを吹いてないのにハーモニカの音がしてる?!という場面があったのか、と納得しました。

さらに、このカレン・ヴァアレンタインの場合の歌唱は、なんとカレン本人の歌唱ではなく、「イーディー・ゴーメ」オリジナルのレコード盤そのものの音声なのでした。

Blame It on the Bossa Nova

Blame It on the Bossa Nova

  • イーディー・ゴーメ
  • ポップ
  •  
  • provided courtesy of iTunes

それで、彼女が登場して来る場面で男たちが踊るショーの楽団のリズムと、歌本編のリズムが食い違っているんですね。

曲のエンディングでも、繰り返し部分になるとレコード盤の音量を絞って、ショー所属の楽団の演奏をかぶせてます。

確かに、この激しく動き回るダンスを踊りながら、実際に息も切れずに歌って、しかもその音声をマイクが拾うのは、相当難しいことだと思われますので、番組制作側としては妥当な判断なんでしょうね。

さて、歌詞を訳してみると、

「Blame It on the Bossa Nova」(恋はボサノバ)英語歌詞・日本語訳

[Verse 1]

【1番】
I was at a dance
私はダンスを踊ってた

when he caught my eye
その時、彼が私の目を引いた

Standin' all alone
立ってたんだ、ひとりぼっちで

lookin' sad and shy
悲しそうで、恥ずかしそうだった

We began to dance,
私たちは踊り始めた

swayin' to and fro
前後に揺れながらね

And soon I knew
そしてすぐに分かった

I'd never let him go
私は彼を決して手放さないってね

 

[Chorus]

【サビ】
Blame it on the bossa nova
文句があるならボサノバに言ってよ

with its magic spell
その魔法の呪文のおかげで

 

Blame it on the bossa nova
ボサノバのせいで

that he did so well
彼はダンスがとっても上手だった

Oh, it all began with just one little dance
ああ、すべては一つの小さなダンスから始まった

But soon it ended up a big romance
だけど、すぐにそれは大きなロマンスになったんだよ

Blame it on the bossa nova,
ボサノバのせいだよ

the dance of love
恋のダンスだね

 

[Post-Chorus]

【後サビ】
(Now, was it the moon?)
(じゃあ、それは月のせいだったの?)

No, no, the bossa nova
いえいえ、ボサノバのせいだよ

(Or the stars above?)
(それとも夜空の星のせい?)



No, no, the bossa nova
いえいえ、ボサノバのせいさ

(Now, was it the tune?)
(じゃあ、それは曲のせいだった?)

Yeah, yeah, the bossa nova
そうそう、ボサノバだよ

(The dance of love)
(愛のダンスだね)

 

[Instrumental Break]

【間奏】(私の感想:この間奏、どうも調子っぱずれに聞こえるのですが、音程合ってるんですよね〜)

 

[Verse 2]

【2番】
Now, I'm glad to say
さて、私はこう言えることが嬉しい

I'm his bride-to-be
私は彼の花嫁になるんだよ

And we're gonna raise
そして、私たちは育てて行くんだ

a family
一つの家庭をね

And when our kids ask
そして子供たちが聞いたらさ

how it came about
どうやってこんなふうになったのかってさ

And I'm gonna say
そしたら私はこう言うのさ

to them without a doubt
彼らに、間違いなくさ

 

[Chorus]

【サビ】
Blame it on the bossa nova
文句があるならボサノバに言ってよ

with its magic spell
その魔法の呪文のおかげで

Blame it on the bossa nova
ボサノバのせいで

that he did so well
彼はダンスがとっても上手だったんだ

Oh, it all began with just one little dance
ああ、すべてはほんの一つの小さなダンスから始まったんだよ

But soon it ended up a big romance
でも、すぐにそれは大きなロマンスになりました

Blame it on the bossa nova,
ボサノバのせいだよ

the dance of love
恋のダンスだね

 

[Post-Chorus]

【後サビ】
(Now, was it the moon?)
(じゃあ、それは月のせいだった?)

No, no, the bossa nova
いえいえ、ボサノバのせいだよ

(Or the stars above?)
(それとも夜空の星のせい?)

No, no, the bossa nova
いえいえ、ボサノバのせいだよ

(Now, was it the tune?)
(じゃあ、それは曲のせいだった?)

Yeah, yeah, the bossa nova
そうそう、ボサノバだよ

(The dance of love)
(愛のダンスだね)

 

[Outro]

【エンディング】
(Now, was it the moon?)
No, no, the bossa nova
(Or the stars above?)
No, no, the bossa nova
(Now, was it the tune?)
Yeah, yeah, the bossa nova
(The dance of love)

 

Lyrics:Cynthia Weilx(シンシア・ワイル)
Music: Barry Mann(バリー・マン)

というわけで、「文句があるならボサノバに言って!」の意味は、

「私が恋に落ちてしまったことに文句があるなら、ボサノバに言ってよ、恋したのはボサノバのせいなんだから」

ということだったんですね。

「Blame It on 〜」は決まり文句

調べてみると、「Blame It on 〜」というフレーズは「〜に文句を言う」転じて「〜のせいにする」という英語のイディオム、決まり文句なのでした。


つまり「ボサノバ」という音楽は、それを聞くと恋に落ちるような、それほど魅力的な、魔法のような、素敵な音楽だと言いたいのでした。

わざと下手に歌った?イーディー・ゴーメ

この曲はイーディー・ゴーメの代表曲の一つになっていますが、実は彼女はこの曲が嫌いで、ボツになればいい、というスタンスでレコーディング録音したのだそうです。

調べてみたところ、イーディー・ゴーメは本来、夫さんのスティーヴ・ローレンスもそうでしたが、本格派の「おとな」の歌手として活躍していて、「格調高い、洗練された」スタンダード・ジャズなどを、ナイトクラブやテレビ番組で歌っていた。

そこへ、当時大流行していたアメリカン・ポップス系のこの曲を歌ってみないか、と言う話が来たものの、軽すぎて脳天気すぎる、ティーンエイジャー、子ども向けの曲だと、全く気乗りしないで、ふざけて茶化したような歌い方をした、後半は音程を外したりもした、と言うんですね。

 

サザンオールスターズの「チャコの海岸物語」を桑田佳祐さんが「田原俊彦」ふうにふざけて、わざと、舌っ足らずな口調で歌ったようなものでしょうか。

適当な歌い方が良かった?

ところがプロデューサーは、このイーディー・ゴーメの「投げやりで遊び心のあるテイク」が「これこそボサノバの気楽で楽しい雰囲気にぴったりだ!」と確信して採用した、とのこと。

イーディー・ゴーメ本人は、録音の際、夫さんのスティーヴ・ローレンスに対して「適当に歌って、さっさと終わらせて帰りましょう」と言ったそうですが、後年、「あんなに嫌って適当に歌った曲が、自分の代表曲になってしまった」と苦笑まじりに語っていたそうです。

なお、掛け合いのバックコーラスは、当時大流行りだったアメリカのガールズグループの一つ、そのヒット曲を、ビートルズハーマンズハーミッツもカバーしたことのある3人組の「クッキーズ(The Cookies)」です。

こちらはイーディー・ゴーメのオリジナル版。ステレオになっています。

Eydie Gormé「Blame It on the Bossa Nova」

youtu.be

私が素人耳で聞いた限りでは、イーディー・ゴーメの音程が外れているようには聞こえず、むしろ途中の間奏の楽器の音の方が、音程が外れているように聞こえるのですが、もし、専門家の耳にはイーディー・ゴーメの歌の音程が外れているように聞こえるのならば、それを誤魔化すために、プロデューサーがわざとそんな楽器の音を入れ込んだのかもしれないな、など思いました。

今回のお話

今回は、「恋はボサノバ」の原題「Blame It on the Bossa Nova」の意味「文句があるならボサノバに言って!」の歌詞を読んでみたら、「文句があるならボサノバに言って!」は、「ボサノバのせい」という意味で、私が恋したのは「ボサノバ」のせいなのだ、ボサノバはそれくらい素敵な、魔法のような音楽なんだよ、という、ボサノバの効能を歌った賞賛の歌だった、というお話でした。