一音九九楽

一音九九楽

いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

エルヴィスの「木の心」(さらばふるさと)と、日本の「別れ」の元歌はドイツ民謡なのでした

 

エルヴィス・プレスリーの「Wooden Heart」(木の心)

この曲、どこかで聞いたことありませんか?

Elvis Presley - Wooden Heart (Official Audio)

youtu.be

エルヴィス・プレスリーの「木の心」、私はなんだか聞いたことあるメロディーだなあ、と思ったので、色々探してみましたら、小学校だったか中学校だったかの音楽の時間で習った「別れ」という曲なのでした。

子供の歌 別れ ドイツ民謡 日本語詞:岡本敏明

youtu.beもともとは、恋人との別れを歌う内容で、「別れ」とか「別れの歌」、「ムシデン(行かねばならない)」というタイトルで呼ばれるドイツ民謡なんですね。

原曲のドイツ民謡は恋人に向けた歌で、「自分は学校を卒業してこれから実習(修行)の旅に出るのだけど、私が戻ってきたときに、君がまだ私のことを好きでいてくれるなら、結婚しようね」、という歌ですね。

ドイツ語原曲 Muss i denn(ムシデン)

youtu.be


原曲の最初の部分の歌詞は「ぼくはどうしてもどうしてもこの町から外へ出かけなければならない、いとしいきみをここに置いて」(wikiより)

ドイツ語全歌詞と和訳はこちらです。

ezokashi.opal.ne.jp

エルヴィス・プレスリー
映画「GIブルース」より「Wooden Heart」


エルヴィス・プレスリー主演の映画「GIブルース」では、この歌を、エルヴィスが実際に兵隊として駐屯していた国、ドイツの、公園での人形劇の人形を相手に、飛び入りで唄う、という設定なんですね。


Elvis Presley - Wooden Heart (1960) 

youtu.be原曲の設定の「実習(修行)の旅」は「兵役」にもあてはめられて、ドイツでは一種の軍歌のようになっているようです。


映画の中の人形劇には、女の子とその父親、そして女の子の恋人である兵隊の人形が出演しているので、客席にいた軍服のエルヴィスがその兵隊の人形の代わりを演じることになる、という設定が、「ちょうど良いハマり役」感があって、上手い作り方だと思います。


エルヴィスの唄はビブラートを効かせまくりで、さすがに上手いなあと思います。
歌詞も、「僕は糸のついてるあやつり人形じゃないし、ハートも木で出来てるわけじゃないんだから、それを二つに割るような冷たいことはしないでね」と、まあ、この場面にピッタリの歌詞ですね。

Wooden Heart (Muss I Denn)
木の心(行かなきゃならない)

 

Can't you see I love you
分からないかな、僕が君を愛していること

Please don't break my heart in two
お願いだから僕の心を二つに割らないで

That's not hard to do
それは簡単なことだよ

'Cause I don't have a wooden heart
なぜって、僕の心は木じゃないから

 

And if you say goodbye
そして、もし君がさよなら言うなら

Then I know that I would cry
僕はきっと泣くだろうよ

Maybe I would die
死んじゃうかも知れない

'Cause I don't have a wooden heart
なぜって、僕の心は木じゃないからさ

 

There's no strings upon this love of mine
僕の愛にはあやつりヒモは付いてないよ

It was always you from the start
最初っからずっと君だよ

 

Treat me nice, treat me good
僕に優しくしてよ、僕によくしてよ

Treat me like you really should
君が本当に思うように僕と付き合ってよ

'Cause I'm not made of wood
なぜって、僕は木でできてるわけじゃないんだ

And I don't have a wooden heart
そして、心が木製ってわけじゃないんだ

 

[2回繰り返し]
Muss i denn, muss i denn
行かなきゃならない、行かなきゃならない

Zum Stadtele hinaus
村を離れて

Stadtele hinaus
村を離れて

Und du, mein Schatz, bleibst hier?
そして、私の恋人よ、ここに残るのかい?

 

There's no strings upon this love of mine
僕の愛にはあやつりヒモは付いてないよ

It was always you from the start
最初っからずっと君だよ


Sei mir gut, sei mir gut
僕に優しくしてよ、僕に良くしてよ

Sei mir wie du wirklich sollst
君が本当に思うように僕と付き合ってよ

Wie du wirklich sollst
君が本当に思うように

'Cause I don't have a wooden heart
なぜって、僕の心は木のように堅くはないんだから

 

song-writers:
Fred Wise - Ben Weisman / Twomey / Kaemfert 

歌の途中の2箇所に出てくるドイツ語の歌詞ですが、「ムシデン・Muss i denn」で始まる部分は、原曲に敬意を払って、原曲の最初の部分そのままのドイツ語の歌詞。


その後の「ザイミアグート・Sei mir gut」で始まる部分は、こんどは逆に「木の心」の方の英語の歌詞
Treat me nice.  Treat me good.  Treat me like you really should.
をドイツ語に訳したものですね。なかなか気の利いた作詞法だと思います。

Wooden Heart

Wooden Heart

  • Elvis Presley
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

今回のお話

今回は、エルヴィス・プレスリーの「木の心」(さらばふるさと)と、学校で習った、日本の「別れ」の元歌はドイツ民謡だということ。

そして、「木の心」(さらばふるさと)の歌詞が、ドイツ語の原曲もうまく生かした、よく工夫された歌詞であることが分かった、というお話でした。