一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

エルヴィスの「サレンダー」、元歌「帰れソレントへ」のパヴァロッティと聴き比べ

エルヴィス・プレスリー「サレンダー」歌が上手い!

まずは、エルヴィス・プレスリーがカバーして、全く違う英語の歌詞で歌って全米No.1になったヒット曲「サレンダー」(降参しなさい)。

サレンダー~帰れソレントへ/エルヴィス・プレスリー

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歌詞はこちらです。

neverendingmusic.blog.jp

「サレンダー」のエルヴィスのボーカルは、「帰れソレントへ」のパヴァロッティに負けないくらいに、よく声が出ていると思います。ビブラートが効いて声に奥行き感がある上に「弱」から「強」へのメリハリがついているという点ではパヴァロッティ以上です。

歌詞もコンセプトは同じ

歌詞としてもよく出来てますね。
「サレンダー」は「私に降参しなさい、私のところへ来なさい」という意味なので、「帰れソレントへ」の、「ソレントに帰って来なさい、あなたの恋人のところに来なさい」、と、コンセプトは同じなんですね。このへんは、なかなかに気の利いた改作の仕方だと思います。

ルチアーノ・パヴァロッティ「帰れソレントへ」

こちらはオリジナル「ナポリ語」で、パヴァロッティが朗々と歌う「帰れソレントへ」

De Curtis: Torna a Surriento (Stereo)

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歌詞はこちらです。歌詞の最後に「日本語に翻訳」という文字があるので、それをクリックすると、1行ごとに日本語の翻訳文が出ます。

www.google.com

1902年にソレント市を訪問したイタリア首相を歓迎するために、市長が友人のソングライターであるクルティス兄弟に依頼して、彼らは曲を5時間で作って、すぐ演奏された、という伝説的な経緯がありますが、実際には、もっと以前にすでに作曲してあった曲を急遽(きゅうきょ)引っ張り出して来た、ということのようですね。

クルティス兄弟のうち兄は作詞、弟は作曲を担当して、作詞の兄は、この曲で自身の恋人についての歌詞を書いたものらしいです。

その歌詞を、市長への、恋人に抱くような思いを、「ソレントの街」が歌っている、という設定に転用したんですね。

日本語で歌える歌詞2選

日本語「訳詞」ではなく、「日本語の詞」を付けて、日本語で歌えるようにした歌詞で有名な方がお二人。

「教育芸術社」の音楽教科書に載っている芙龍(ふりゅう)明子さんと、「教育出版」の音楽教科書に載っている徳永政太郎さんの版

さて、どちらが歌いやすいでしょうか。

芙龍(ふりゅう)明子さん作詞

帰れソレントへ

 

1番)

うるわしのソレント 海原(うなばら)はるかに
夕もやたなびき 思い出誘う

オレンジの香り ほのかにただよい
森の緑にも 風はささやく

今はただ一人 過ぎし日しのべば
砕ける波音(なみおと) 寂しく響く

帰れ君 故郷(ふるさと)の町

このソレントへ 帰れよ


2番)

うるわしのソレント 海原はるかに
歌声流れて 夢路に誘う

海の精(せい)シレーネ 妙なるその歌  
やさしくいざない 君を招くよ

今日もただ一人 窓にたたずめば
星かげ夜空に 
寂しく光る

帰れ君 故郷の町
このソレントへ 帰れよ

徳永政太郎さん作詞

帰れソレントへ

 

1番)

うるわしの海は うつつにも夢(ゆめ)む
君の声のごと わが胸をうつ

オレンジの花は ほのかにも香り
恋に嘆く子の 胸にぞしむよ

あわれ君は行き われはただひとり
なつかしの地にぞ  君を待つのみ

かえれよ われを捨つるな
かえれソルレントへ  かえれよ

 

2番)

ソルレントの海は  たぐいなき海よ

貴き宝を  底にうずむや

惑(まど)わしのシレンは  君の手をとりて
いと甘き声に  君を誘うよ

あわれ君は行き  われはただひとり
なつかしの地にぞ  君を待つのみ

かえれよ  われを捨つるな
かえれソルレントへ  かえれよ

「シレーネ」「シレン」はスターバックスの人魚「サイレン」

芙龍(ふりゅう)明子さん作詞にある「シレーネ」、徳永政太郎さん作詞にある「シレン」は、ギリシャ神話に出て来る「サイレン」で、その美しい歌声で船乗りを誘惑して、心を奪ってしまう人魚のこと。 

ななんと、スターバックスのマークがサイレンなのだそうです。

道ゆく人たちを誘惑しているわけですね。

「サイレン」が両手で持っているのは、二股に分かれた人魚の尻尾です。かなりの「魔物感」がありますね。心を奪われそうです。

ナポリ語は関西弁か

さて、原語のカンツォーネは普通のイタリア語ではなく、ナポリ語で歌われているそうなのですが、違いがさっぱりわかりません。

正規イタリア語に対するナポリ語とすれば、標準語に対する方言ということになり、それを日本に当てはめてみると、標準語と関西弁、ということになりますか。

大阪弁でオペラがあれば、なかなか楽しいものになりそうです。

大阪弁の「歌謡曲」なら、もうすでにありますね。

上田正樹 悲しい色やね ~OSAKA BAY BLUES.MP4

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BORO 大阪で生まれた女

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関西弁は感情豊かな言葉なので、歌の歌詞には向いているかも知れません。

今回のお話

今回は、エルヴィスの「サレンダー」と、その本歌であるパヴァロッティの「帰れソレントへ」を聞き比べてみました。

迫力ではパヴァロッティですが、うまさではエルヴィスかな、という気がしました。

また、ナポリ語、というのは、日本で言えば関西弁か、という仮説もなかなか面白いと我ながら思ってしまいました。

日本語歌詞で歌ってみるのも、なかなか気持ちの良いものだと思いましたので、いっそ関西弁歌詞をつけてみようかなあ、と妄想してます。