一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

狼とジョニー・デップが、ワニ柄のギターで吠えるディオール曲は

 

ディオールのCM「New Elixir・Sauvage」

Dior(ディオール)のオー・ド・トワレ「Sauvage(ソバージュ)」のCMに、ジョニー・デップ(Johnny Depp)が出演、ギターも演奏しています。

こちらにご紹介したCM映像はフランスで公開されたフランス語字幕版です。

日本語字幕版はまだYouTubeにはアップされていない模様。

ディオールはもともとフランスのメーカーなので、ジョニー・デップもフランス人が聞いても分かる程度の英語をしゃべってますね。

なお、Elixir(英語読み「エリクサー」、フランス語読み「エリクシーる」)は中世「錬金術」での「万能の霊薬」のことです。「New」が付いているので「新時代の霊薬」といったところでしょうか。

The New Elixir Dior Sauvage ad - Johnny Depp

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「新時代の霊薬」で現代の荒野を生き抜け!

狼の遠吠えのようなエレキギターの音とともに、夕暮れの薄明の中でむっくりと起き上がるジョニー・デップと狼。

沈みかけた夕陽をバックに、狼のうなり声のようにも、遠吠えのようにも聞こえるハードロック風のエレキギターをダイナミックなストロークであやつっているのは何と、「パイレーツ・オブ・カリビアン」で知られる映画スター、ジョニー・デップです。

ジョニー・デップのそばには、てんこ盛りのスピーカーやアンプが積み上げられています。これだけの大音量なら、荒野の果てまで届きそうです。

狼の声ふうの音が終わって、狼たちが集まってくる中で弾き始めるのは、イギリスのグループ・サウンズ「The Troggs(ザ・トロッグス)」の1966年の大ヒット曲「Wild Thing(ワイルドなヤツ)」の迫力のリフです。

そして、弾いていたギターを置いたのか、放り投げたのか、丸腰で歩き始めるジョニー・デップ。

地面の上のギターを狼がチェックして、仲間の狼たちとジョニー・デップの後を着いて行きます。空には、まがまがしく上り始めた赤い満月。

しばらくして、ジョニー・デップのセリフが入ります。

ジョニー・デップの各国版でのセリフは

このディオールのCMは世界中で放送されているわけですが、ここでは、日本語版、フランス語版、英語版のセリフを見たいと思います。

CM映像の日本語字幕では、

 

大自然に佇(たたず)み
恐れず
自分らしく
ディオール
ソバージュ

 

となっています。「ディオール、ソバージュ」の順番が映像のセリフとは逆ですね。
英語では「ディオール」が最後になっています。

これは日本語と英語の語順のちがいで、例えば、「ケンタッキーの青い月」は「Blue Moon of Kentucky」と、語順が反対になります。

それはいいのですが、たとえば画面で「Blue Moon 」と言っている時に字幕で「ケンタッキーの」と出ると、ちょっと違和感はあります。

同様に、ここでも「Sauvage」と言っているときに「ディオール」という字幕が入り、「Dior」という最強のブランド名をジョニー・デップが言う決めゼリフに「ソバージュ」という字幕なので、「あれっ?」とは思いますね。

「The New Elixir」には字幕が入らず、もうちょっと工夫が必要かと思われます。

じゃあ、何と訳すんだ、と言われると、「き、急に言われても、もごもご」ですけどね。

原語の英語では、
 In the wilderness
Fearless
And human
Sauvage
The New Elixir
Dior 


直訳すると、

荒野では
大胆不敵であれ
しかも人間的であれ
ソバージュ
新しいエリクサー(霊薬)
ディオール

 

ジョニー・デップは荒野の真っ只中で狼に囲まれているにもかかわらず、ディオールの新しい香水「ソバージュ」を着けているので、そのエリクサー(霊薬)効果で、遠吠えのようなギターの音に集まってきた狼たちは、襲って来ないで、ジョニー・デップの味方になっているのかも知れません。

フランス語では、
"Dans cette nature sauvage.
Sans crainte.
Et avec humanité.
(Sauvage)
Le Nouvel Elixir.
Dior"

 

意訳すると、

この野蛮な自然の中では
怖いもの知らずでなければならないが
人間味も持ち合わせていなければならない
(ソバージュ)
新しいエリクサー(霊薬)
ディオール

ちょっとハードボイルド小説のセリフ「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きるに値しない(If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.)」を連想する発想ですね。

「Sauvage(ソバージュ)」の香水名が、このフランス語版の字幕では省略されていて、画面には出ていないのですが、「Sauvage」という香水名自体がフランス語なので、フランス人向けのCMとしては訳す必要がないんですね。
私たち日本人のためにあえて訳せば「野性」くらいなところでしょうか。

www.dior.com

「ソバージュ」の成分は、「カラブリアンベルガモット」「サンショウ」「ラベンダー」「パチョリ」「アンブロクサン」だそうですが、こればっかりは実際に嗅いでみないと分かりませんね。

弾いているギターの「クロコダイル」模様

私のテレビの小さな画面だと分かりにくかったのですが、ネットで見るとジョニー・デップが弾いているエレキギターは、本物のワニの革の模様をフラットに転写した金属板をギター本体に貼り付けたワイルドなものでした。

荒野に、狼に、ジョニー・デップに、ワニ、と来ると、いやはやどこまでもワイルドな世界なので「スギちゃん」が喜びそうですが、オシャレ業界では「ワニ」ではなくて「クロコダイル」と呼ぶようです。

ジョニー・デップのクロコダイルギター

ファンサイトより

なかなか、ワイルドなクロコダイルです。

このギターで弾いた曲の、元曲の演奏グループ名「ザ・トロッグス」も、北欧神話の「トロール」と「フロッグ(カエル)」の合体名らしいので、やっぱりワイルドです。

The Troggs(ザ・トロッグス)「Wild Thing(ワイルドなヤツ)」

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この1966年の大ヒット曲「Wild Thing(ワイルドなヤツ)」は、イギリスのグループ・サウンズ「The Troggs(ザ・トロッグス)」のバージョンですが、オリジナルはアメリカの「ワイルド・ワンズ」(日本のワイルド・ワンズではありません)による1965年のバージョンです。

「ザ・トロッグス」もワイルドですが、「ワイルド・ワンズ」は、もう名前からしてワイルドですね。

ジミ・ヘンドリックス版

が、ジョニー・デップが目指したのは、ザ・トロッグスのヒットの翌年1967年の、ジミ・ヘンドリックス版だと思われます。

 

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Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)は、いわゆる「ハードロック」が出来る草創時に活躍した、決して「地味」ではなく派手なパフォーマンスで知られる、まさにワイルド、「野蛮」というニュアンスの「ソバージュ」な人でした。

演奏のエレキギターの音が途切れたりするのは、ボロボロの壊れかけのエレキギターを使っているので、接触不良を起こしているためです。

舞台上でそんなギターを壊したり火をつけたりする「野蛮」な行為の草創者でもあり、当時から物議をかもしていました。

なお、途中で聞こえる「ストレンジャーイン・ザ・ナイト」のメロディーは1966年当時にヒットしていたフランク・シナトラの曲です。

エアロスミスとの共演も

実はジョニー・デップは本当はミュージシャン志望であって、俳優の方は思いがけずに売れてしまった、ということのようです。

こちらはアメリカ東海岸のロックバンド、エアロスミスとの共演。

Aerosmith and Johnny Depp - Train Kept A Rollin' 8/6/12

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今回のお話

今回はジョニー・デップ出演のディオールの香水「ソバージュ」のCMをご紹介しました。


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ハードでタフな現代を生き抜くのは大変なことですが、人間としての心はいつも忘れずに持っていたいものです。もちろん、同時に精神的にタフであること、打たれ強いことは、もっと重要です。