一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

「坂本九」の「ステキなタイミング」の原曲、「 GOOD TIMIN'」 の歌詞には、神話と歴史が入っている

 

坂本九「ステキなタイミング」

最初は「ダニー飯田とパラダイス・キング」と一緒に歌ってましたね。

ダニー飯田とパラダイス・キング/坂本九、ステキなタイミング

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その後、独立して歌うようになりました。

坂本九 ステキなタイミング

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渋谷公会堂での日本テレビ「九ちゃん!」公開放送ですね。踊りは「スタジオNo.1ダンサーズ」。ちなみに、私は一度リアルタイムで観覧に行ったことがあります。

歌詞はこちらです。4番まであります。

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「ステキなタイミング」の原曲、「 GOOD TIMIN'」

JIMMY JONES - GOOD TIMIN' (RARE CLIP)

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ジミー・ジョーンズ版の歌詞はこちらです。

英語歌詞の下にある「日本語に翻訳」という文字をクリックすると、日本語訳が読めます。

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デイビッドとゴリアテ

さて、こちらの歌詞の中に、

「もし、小さな小さなデイビッドがあの石を掴(つか)まなかったら、地面に横たわっている大きなゴリアテが、彼を踏みつけたかもしれない」

というところがあるのですが、これはどういう意味なのか、ちんぷんかんぷんですよね。

これは旧約聖書の「サムエル記」に出て来るお話で、デイビッドというのは、イスラエルのベツレヘムの少年「ダビデ」のことです。

よく知られているミケランジェロによる「ダビデ像」のダビデですね。

ダビデ像が巨大なので、「小さい」というイメージが全くないのですが。

ダビデ少年は、イスラエルと敵対する「ペリシテ人」の代表、3m近い大男と一騎討ちをすることになります。

ダビデが使った武器は「スリング」

一騎打ちでダビデが使った武器は、「なめらかな」石と、石を投石するための革製か、布製か、ベルトのような原始的な投石道具です。「スリング」と言うらしいです。

あのダビデ像が左手で肩にかけているのが、その投石用の道具「スリング」です。

左手で石をくるんでセットした部分を持って、ゴリアテを見ているようです。

ダビデ像の背面を見るとよく分かりますが、帯状のベルト、布なのか、皮なのか、スリング用のベルトが、左手で持っている左肩から背面を斜めに通って、下げている右手にまで届いているのが分かります。

スリングの本体部分を背後に配置することによって、相手から見えない効果があると同時に、左手からポイっと、石の入ってる部分を後ろに放り投げると同時に右手で振り回し始めれば、石の入っている部分を効率的に、ぶんぶん振り回せることになります。

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右手には「スリング」の布の端っこが握られています。端っこは、石を投げた時に布ごとすっぽ抜けて飛んでいかないように、また、振り回している時にグリップを効かせるためでしょうか、何かで、ふくらみを持たせてますね。


ダビデ像3より

 

スリングの使い方はこちらです。

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この方法で、ダビデはゴリアテの額に石を命中させ、倒してしまいます。

と言うわけで、「地面に横たわっている大きなゴリアテ」という状況になったわけですね。

まあ、確かにダビデが石を掴(つか)まなければ、ゴリアテに踏み潰されていたかも知れないので、良かったのですが、それは「タイミング」の問題なのかなあ、という疑問も浮かばないでもないですね。

イサベル女王とコロンブス

「イサベル女王が宝石を投げつけていなかったら、1492年コロンブスに何ができるか、一体誰が知っていただろうか」

という歌詞。

「宝石を投げつけていなかったら」が、わけが分かりませんね。

これは、1492年コロンブスがアメリカ大陸を発見したのは、スペイン、イサベル女王のサンタ・マリア号など3隻の帆船などの物質的援助があったからこそなのですが、女王が、「資金が足りぬなら、私の宝石を売って資金を作ってやろうか?」と言ったそうなのです。それが直訳すると「宝石を投げつける」になるんですね。

サンタ・マリア号

実際には、そうしなくても大丈夫なくらいの財政的余裕が、スペイン王国にできたらしいのですが。

まあ、これもタイミングが良かったと言えば良かったのでしょうけど、ちょっと違うような気もしますね。

それらしい神話と歴史で権威付け

この曲は、「僕と君が出会ったのはタイミングが良かった」、ということが言いたい歌詞なので、それらしい神話や歴史を持ち出して来たのは、どうやら相手の気を引くための、「権威づけ」のため。

なので、厳密な見方からすると、ちょっといい加減な援用だったのではないか、という感はありますね。

 

そうすると、「坂本九」版の歌詞の「いい加減な感じ」も、意訳としては間違っていないのかも知れません。

今回のお話

今回は、坂本九さんの「ステキなタイミング」の原曲、「 GOOD TIMIN'」 の歌詞には、神話と歴史が入っているので調べてみたら、あまり「タイミング」とは関係のない神話と歴史だったので、ちょっと肩すかしな感じだった、というお話でした。

それより、今回調べているうちに、坂本九さんの生前最後にラジオ放送のライブで歌ったのがこの「ステキなタイミング」で、その数時間後に飛行機事故に遭遇、ということを知って、その、あまりの「タイミング」に、暗澹たる気持ちになってしまいました。ご冥福をお祈りします。合掌。