一音九九楽

一音九九楽

いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

「坂本九」の「ジェンカ」英語の「レッツ・キッス」はフィンランド語の「レットキス」の「もじり」だった

 

「レッツ・キッス」ではなくて「レットキス」

坂本九さんの「ジェンカ」と言えば、みんなで踊るフォークダンスの一つで、「レッツ・キッス」とステップを合わせてみんなで気軽にキスをするのかあ、すごいなあ、という認識で、1966年当時、60万枚のヒットになりました。

NHK紅白歌合戦にも、坂本九さんはこの歌で出場しています。

坂本九 レットキス(ジェンカ)

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歌詞はこちらです。

歌詞には載っていませんが、九(きゅう)ちゃん、曲の途中で踊り方を教授してますね。

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ところがこのレコードジャケット、よくよく曲のタイトルを見ると、黄色い文字で大きく「レットキス」と書いてあります。その後ろに黒文字で小さく(ジェンカ)と書いてあります。

「レッツ・キッス」の間違いだよね、と思ってしまいそうですが、実は「レットキス」が正しいのです。

フィンランド語プチ講座

この曲はもともとフィンランドのフォークダンス曲で、タイトルは「Letkajenkka(レットカイェンッカ)」意味は「列になって踊るフォークダンス」です。

Letka(レットカ)」というのは「ホース」とか「チューブ」とか「ライン」とかの「細長いもの」を指す言葉で、この場合は「列」。

jenkka(イェンッカ)」=「ジェンカ」が、このフォークダンスの名前ですね。

「オクラホマミクサー」や「マイムマイム」と同じように、曲名であると同時にダンスの名前でもある、と認識されています。

そして、フィンランド語では、単語の後ろに「is(イス)」を付けて、略語にすることがあるそうなのです。

Letka(レットカ)」に「is(イス)」を付けて、「Letkis(レットキス)」という略語になります。その後の部分「jenkka」は省略しましたよ、ということなんですね。

確かに、「レットカイェンッカ」よりは「レットキス」の方が「ホッチキス」みたいで言いやすいですね。

「永六輔」が「レットキス」を、ダジャレ感覚でもじって「レッツキッス」

どうやら、作詞の永六輔(えいろくすけ)さんが「レットキス」をダジャレ感覚でもじって「レッツキッス」という歌詞を書いたようですね。

青山ミチ」版が先行

それは正解だったようで、この1年前の1965年に、青山ミチさんがやはり「レットキス」というタイトルで、レコードを出しているのですが、ヒットしませんでした。

青山ミチ/レットキス

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歌詞はこちらです。

ネット上に歌詞が見当たらなかったので、曲を聞いて歌詞を書き出してみました。

「レットキス」唄;青山ミチ

 

ね、ね、愛してね

ね、ね、優しくね

ね、ね、お願いね いつまでも二人でいてね

ね、ね、キスしてね

ね、ね、たくさんね

ね、ね、今夜もね 星の数のキスをしてね

 

あなたに抱かれて甘えていたい

とっても素敵で涙が出ちゃう

 

ね、ね、愛してね

ね、ね、優しくね

ね、ね、お願いね いつまでも二人でいてね

 

若い、若い、若い二人の 恋は恋は蜜のように甘い

いつも、いつも、二人でいれば 何も何も、欲しくはないの

 

【ここで間奏が2コーラス入ります】

 

ね、ね、キスしてね

ね、ね、たくさんね

ね、ね、今夜もね 星の数のキスをしてね

 

あなたに抱かれて甘えていたい

とっても素敵で涙が出ちゃう

 

ね、ね、約束ね

ね、ね、ゆびきりね

ね、ね、明日もね 忘れずにデイトをしてね

 

作詞;なかにし礼
作曲;Rauno Lehtinen(ラウノ・レティネン)

こちらはこちらで、「なかにし礼(れい)」作詞による、とても甘いラブソングな歌詞で、良いと思いますけどね。

そして、永六輔さん作詞の「坂本九」版の方も、最初は「ジェンカ」というタイトルだったためか、全く売れず、「レットキス」を前面に打ち出して再発売したら大ヒットしたそうです。

でも、「青山ミチ」版も「レットキス」のタイトルだったのに売れなかった、というのは、謎ですね。

「タイミング」の問題かも知れません。

「橋幸夫」版もあった

そして、今回知ったのですが、なんと橋幸夫(はしゆきお)さんが亜蘭知子(あらんともこ)さんの歌詞で、この曲を歌ってらっしゃったんですね。

橋幸夫「ジェンカ」

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歌詞はこちらです。

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とても明るくて良い歌詞だと思います。

フィンランド語による原曲

そして、こちらが、フィンランド語による歌です。

【和訳付き】ジェンカ(フィンランド歌謡)"Letkis" - カナ読み有

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この曲の作者も「Rauno Lehtinen(ラウノ・レティネン)」という名前なので、フィンランド語は「ネン」という音が多い言葉のようですね。

「青山ミチ」版の歌詞に「ね、ね、」という音が多いのも、この原曲の印象から来ているのかも知れません。

「レットキス」の踊り方

Jenka (LetkaJenkka, Letkis)

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映像を見れば一目瞭然ですが、

1)左足を左斜め前に、けるように出して、戻します。2回繰り返します。
2)右足を右斜め前に、けるように出して、戻します。2回繰り返します。
3)両足を揃えて前方へ、ピョンと一歩ぶん、飛び跳ねて進みます。
4)両足を揃えて後方へ、ピョンと一歩ぶん、飛び跳ねて後退します。
5)両足を揃えて前方へピョン、ピョン、ピョンと三歩ぶん、飛び跳ねて進みます。

この繰り返しですね。

両手は前の人の肩にかけたり、腰に当てたりです。

「オクラホマミクサー」や「マイムマイム」のように相手が変わって行くことはないのですが、一体感はできるかも知れません。

ムーミンの国フィンランド大使館の人たちも踊ってます。

今回のお話

今回は坂本九さんのヒット曲「ジェンカ」の曲名は「レッツキッス」ではなく、フィンランド語の「レットキス」であったことを、ヒットの歴史などを探りながら、お話ししてみました。

フィンランドは「ムーミン」と北欧スペースサウンドバンドとして知られている「ザ・サウンズ」の国でもありますね。

 

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