- ビートルズはロック界のバッハである
- ビートルズの「ロング・トール・サリー(のっぽのサリー)」
- バッハ「4台のチェンバロのための協奏曲・イ短調・BWV.1065 」
- 原曲も優秀なので真似された
- 感受性が刺激される年代
- 今回のお話
ビートルズはロック界のバッハである
これは、ビートルズはロック界のバッハである、と言っても同じことです。
つまり、バッハとビートルズは似ている、両者とも、全てを持っている、という事を言いたいわけです。
音楽の父、ロックの父
バッハは音楽の父と呼ばれるようですが、ビートルズもロック界に与えた影響は計り知れず、ロックの父と呼んでもおかしくないと思います。
まあ、そんなことを言うと、ビートルズからは即「おかしい」と突っ込まれそうですが。
模倣から始まった
そして、その創作活動の秘密を探ると、バッハもビートルズも、当時のヒット曲を徹底的に真似をして、場合によっては原曲以上のものを作り出し、さらにそこらか独創的な曲を作り出して行った、という共通点があるのです。
模倣は独創の母である、と言う言葉があるのですが、全くその通りだと思います。
ビートルズの「ロング・トール・サリー(のっぽのサリー)」
例えば、ビートルズがカバーした曲で、「ロング・トール・サリー(のっぽのサリー)」と言うヒット曲がありますが、これが、原曲、リトル・リチャードのオリジナルを超える出来となっています。
The Beatles - Long Tall Sally - Live
リトルリチャードの原曲
リトルリチャードのオリジナルはこちらです。
Little Richard - "Long Tall Sally" - from "Don't Knock The Rock" - HQ 1956
バッハ「4台のチェンバロのための協奏曲・イ短調・BWV.1065 」
一方、バッハの「4台のチェンバロのための協奏曲・イ短調・BWV.1065 」
これはヴィバルディの「4台のバイオリンのための協奏曲・RV.580」をバッハがカバーした曲です。
Bach - Concerto in A minor BWV 1065 | Netherlands Bach Society
ヴィヴァルディの原曲
こちらが、ヴィバルディのオリジナル版「4台のバイオリンのための協奏曲・RV.580」です。
Vivaldi: Concerto in B minor RV.580, for four violins - Pham/Gjezi/Darmon/Tudorache - OCNE/Krauze
原曲も優秀なので真似された
ビートルズや、バッハ版の方が優れている、と言いながら、こうやって聞いてみると、どちらも、オリジナルの原曲の方もなかなか良いですね。
まあ、ビートルズもバッハも、どちらも、その音楽が好きでたまらなくて、徹底的に真似してしまったのですから、原曲の方も、もともと良い音楽なのは間違いないわけですね。
感受性が刺激される年代
ビートルズ16歳
「ロング・トール・サリー」の方は、1956年3月に発売ですから、1940年あたりに生まれたビートルズのメンバーは、その時、16歳くらいですか。
これはもうギター小僧世代のビートルズたちは夢中になってしまったでしょうね。
バッハ26歳
一方、ヴィバルディのオリジナル版「4台のバイオリンのための協奏曲・RV.580」は、1711年にオランダの出版社から出版されています。
1685年生まれのバッハは、当時26歳ですね。新進気鋭、感覚も体力もバリバリの時ではないでしょうか。
バッハはこの時、ワイマール公の宮廷にいました。
バッハにも仲間がいた
ワイマール公の甥である、1696年生まれの「エルンスト公子」は、当時の最先端音楽都市であるオランダ・アムステルダムへ留学していました。
アムステルダムから帰ってきた「エルンスト公子」は、ヴィヴァルディの曲を始めとする最先端のイタリア音楽をバッハに紹介して、さらには、この曲などいくつかをキーボード曲に編曲するよう依頼しました。
と言うより、11歳差の二人はどうやら音楽の師弟関係を超えた仲良しの音楽仲間だったようで、二人して「これがイタリアのホットな音楽か!」と、ヴィヴァルディに夢中になって作曲し合ったり、編曲し合ったり、合奏したりで、ワイワイやっていたようなのですね。
エルンスト公子は何と19歳で早世してしまうのですが、バッハは彼の影響でその後、「イタリア協奏曲」というチェンバロ曲や、他にもヴァイオリン協奏曲、チェンバロ協奏曲などを作曲、「ブランデンブルク協奏曲」など、次々と独創的な曲を作り出して行くことになります。
今回のお話
今回は、模倣は独創の母である、と言うお話を、バッハとビートルズを例にしてみました。大好きなものを徹底的に真似してみる、ということは、独奏的なものに至る最も近道なのかも知れません。