一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

「タコハポーン」「イカジュポーン」サントリー「稲垣吾郎」CM曲は「さくらんぼの実る頃」

 

「タコ8本」「イカ10本」

夏木マリさんが歌うフランス語のシャンソンが聞こえている食卓で稲垣吾郎さんがしゃべっている言葉がフランス語っぽいのでよく聞いてみると、なんと、

「タコハポーン」「イカジュポーン」

と言っているんですね。つまり、

「タコ8本」「イカ10本」

と、タコとイカの、それぞれの足の本数を、フランス語ふうに発音していることが分かって大笑いです。

ノンアルコールでワインの休日「シェフゴローのたこ焼き」編

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稲垣吾郎さんと奥さん、という設定なのでしょうか、恋人同士という設定なのでしょうか、たこ焼きを作っている稲垣吾郎さんの言葉から会話が始まります。

たこ焼きのタコ

「美味いでしょ」

「ふふふ」

「タコハボーン、イカジュポーン」

「ふふふ」「ははは」

「タコは、8ぽ〜ん、イカは、10ぽ〜ん」と、フランス語ふう日本語の種明かしです

「ん〜ん♪」

「へえ〜合うんだ〜」と、「タコイカ」からのノンアルワインを飲んでの感想

「ウィ〜」と、稲垣吾郎さんがフランス語での返事。酔っ払っているわけではありま、、、せん、ノンアルなので、、、

ダイオウイカ

日本語はフランス語になりやすい?

フランスはおしゃれで、洗練されていてカッコいい、というイメージがあるので、フランスムードはノンアルコールのワインにもぴったり、というわけですね。

ちょっと前の時代に、東京のオシャレなイメージの地名である「麻布十番」を読むのに、フランス語ふうに「ア・ザ・ブ・ジュボーン」みたいな発音をすることが流行りましたが、案外、フランス語は日本語から変換しやすい言葉なのかも知れません。

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「さくらんぼの実る頃」というシャンソン

このCMで夏木マリさんが歌っているのは「さくらんぼの実る頃」という、1866年から1868年にかけて作られたフランスの曲で、春に生まれる恋と、恋にはつきものの失恋について歌われています。

歌詞は銅職人のジャン・バティスト・クレマン、作曲はテノール歌手の、アントワーヌ・ルナールです。

こちらでご紹介するのは日本語字幕入りの「ミスターシャンソン」こと「イヴ・モンタン」の歌ですが、いかにもパリジェンヌな明るいコラ・ボケール、迫力の演劇派ジュリエット・グレコの歌でも有名です。

 

さくらんぼの実る頃( Le Temps Des Cerises )「イヴ・モンタン」

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Le Temps Des Cerises 歌詞


Quand nous chanterons le temps des cerises,
Et gai rossignol et merle moqueur
Seront tous en fête.
Les belles auront la folie en tête
Et les amoureux du soleil au cœur.
Quand nous chanterons le temps des cerises,
Sifflera bien mieux le merle moqueur.

さくらんぼ


Mais il est bien court le temps des cerises,
Où l'on s'en va deux cueillir en rêvant
Des pendants d'oreilles,
Cerises d'amour aux roses pareilles
Tombant sous la feuille en gouttes de sang.
Mais il est bien court le temps des cerises,
Pendants de corail qu'on cueille en rêvant.


Quand vous en serez au temps des cerises,
Si vous avez peur des chagrins d'amour
Évitez les belles.
Moi qui ne crains pas les peines cruelles,
Je ne vivrai point sans souffrir un jour.
Quand vous en serez au temps des cerises,
Vous aurez aussi des peines d'amour.


J'aimerai toujours le temps des cerises :
C'est de ce temps-là que je garde au cœur
Une plaie ouverte,
Et Dame Fortune, en m'étant offerte,
Ne pourra jamais fermer ma douleur.
J'aimerai toujours le temps des cerises
Et le souvenir que je garde au cœur.

paroles sont écrites en 1866 par Jean Baptiste Clément
et la musique composée par Antoine Renard en 1868

春に鳴く鳥たち

1番の歌詞に出て来る、さえずる鳥たち、

Rossignol(ろシニョール)」つまりナイチンゲールも、

Merle Moqueur(メるル・モカー)」つまりモッキンバードも、

日本のウグイスのように、季節的には「春」に鳴く鳥です。

「Rossignol(ろシニョール)」ナイチンゲール、
日本では「夜鳴き鶯」

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Merle Moqueur(メるル・モカー)
(日本では「真似しツグミ」英語で「モッキンバード」)

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鳥たちも歌の練習をする

そして、1番の歌詞の最後の行の

Sifflera bien mieux

直訳すると「さえずり(口笛)をもっと上手くする(吹く)だろう」ですね。

字幕では「ひときわよく歌いだす」となっていますが、これは細かい事を言うと、日本のウグイスも春の初めにはあまり上手く「ホーホケキョ」とさえずる事ができず、「ケキョ」と言ったり、「●◇△*」と口ごもったりしますが、練習を重ねて、春もたけなわになってくると、上手に「ホーホケキョ」と鳴けるようになります。

ボイストレーニング

同じように、春も進んで時間がたつと、「お嬢さんたちが恋にお熱を上げ、太陽が恋人たちの心に」輝く頃には、モッキンバードも練習が進んで、上手く鳴けるようになる、ことを言っているのだと思います。

つまり、最初の Quand (とき)と最後の Quand(とき) の、二つの「時」の間には「恋の季節」がはさまっている、それだけの時間経過がある、ということですね。

さくらんぼの収穫期は6月中旬から7月中旬にかけてなので、その頃にはもうほとんど初夏で、太陽の季節なのです。

太陽

ジブリアニメ「紅の豚」にも登場

スタジオジブリの長編アニメ映画「紅の豚」で、主人公ポルコが通って来るホテルのオーナーでもある女性ジーナが、ホテルのナイトクラブでこの歌「さくらんぼの実る頃」を歌います。

紅の豚ジーナ

歌は、アニメの本編でもジーナの声を担当した、シャンソン歌手の加藤登紀子さん。

日本にもシャンソンブームがあり、銀座に「銀巴里(ぎんぱり)」など、「シャンソン喫茶」が30軒も「雨後のたけのこ」のごとく林立、ラジオからはたくさんのシャンソンが流れ、シャンソン人口は増え続け、ジャズ人口30万人を超える勢いでした。

「さくらんぼの実る頃」加藤登紀子
〜1995年30thコンサート〜

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今回のお話

今回は、「タコハポーン」「イカジュポーン」が耳に残る、サントリーノンアルコールワインの「春」向きCMに使われている曲は、夏木マリさんが歌う「さくらんぼの実る頃」という「春」を歌うシャンソンだった、というお話でした。

フランスと言えば「タカラヅカ」、というイメージの宝塚歌劇を象徴する歌、「すみれの花咲く頃」の「すみれ」も春の花で、そのフランス語版「Quand refleuriront Les Lilas blanc」の「Lilas(リラ)」つまりライラックも春咲く花です。

その宝塚音楽学校の卒業式、入学式も、この春の始まりの時期にニュースとして取り上げられるので、もはや「春の風物詩」になっていますね。