- 「99」の意味
- Nena「 99 Luftballons」
- メッセージソング
- 浅田美代子さんの「赤い風船」
- 五つの赤い風船「遠い世界に」
- フランス映画「赤い風船」
- バンクシー
- ベルリンの壁を超える風船
- 今回のお話
「99」の意味
このブログもこの記事で99記事目になります。
100を完成形とするならば、99は区切りの100には一つ足りない。99は「とてもたくさん」であるが、100になるまではいつまで経っても完成ではない、終わりではないというところから、「無限」を表す数字ということになっているんですね。
「アキレスは亀に追いつけない」とか「飛んでいる矢は止まっている」と言う「ゼノンのパラドックス」みたいな発想ですが。
そこから当ブログのタイトル「一音九九楽(いちおんくくらく)」にも使わせていただきました。
正確にはこの記事で、100記事目なのですが、最初の1記事目は「プライバシーポリシー」などのブログ運営上の表示に使っているので、通常記事としては99番目の記事ということになります。
それを記念して、歌詞とタイトルに「99」が入っているこの曲をご紹介することにしました。
Nena「 99 Luftballons」
歌手は
歌っているのは「Nena(ネーナ)」。
ボーカルの女性の、家族のスペイン旅行の際に付けられた3歳からのニックネームでもあり、バンド名でもあります。
元々の由来はスペイン語の「女の子」という意味の「ニーニャ」です。
天気予報用語の「エルニーニョ(男の子)現象」「ラニーニャ(女の子)現象」の「ニーニャ」ですね。英語読みだと「ニーナ」ですが、ドイツ語なので「ネーナ」です。
タイトルは
日本語タイトル「ロックバルーンは99」の「ロック」は、この曲の曲調がロックだというだけの理由で付けられた様子で、もはやイメージタイトルだと思います。
ドイツ語の原タイトルはもっと単純に
「99 Luftballons(ノイン・ウントゥ・ノイン・ツィヒ・ルフト・バロンス)」
なので、つまり「99の風船」ですね。
ドイツ語ミニ講座
🟢「99」はドイツ語で「Neunundneunzig」で、分解すると
「Neun und neun zig」
となって、最初の
「Neun(ノイン)」は「99」のうちの「1の位」の「9」で、
「 und (ウント)」は英語の「and」、そしてその後ろの
「neun zig(ノイン・ツィヒ)」は「90」ということになります。つまり
「9と90」で「99」というわけですね。
日本語で書くと、最初の
「Neun(ノイン)」は「九十九」の一の位の「九」で、最後の
「neun zig(ノイン・ツィヒ)」が「九十」に相当するので、この「十」が「zig(ツィヒ)」に相当する、ということになるんですね。
🟢「 Luftballons(ルフト・バロンス)」の「Luft(ルフト)」はドイツの航空会社「Lufthansa(ルフト・ハンザ)航空」の「Luft」と同じで、英語で「air」日本語で「空気」という意味です。
「hansa(ハンザ)」は「ハンザ同盟」の「ハンザ」で、「同盟」という意味です。つまり「ハンザ同盟」は「同盟同盟」という重ね言葉ということになりますが、「都市同士の商業組合」という意味ですね。
なので、「Lufthansa(ルフト・ハンザ)は「航空組合」みたいな意味合いなんですね。
だから「Lufthansa(ルフト・ハンザ)航空」は組合による「ストライキで欠航」というケースが結構あるのでしょうか。
「ballon(バロン)」は英語では「Balloon(バルーン)」で、「風船」とか「気球」のことです。
メッセージソング
リアルタイムで聞いていた時には調子の良い曲だ、くらいにしか思っていませんでしたが、改めて歌詞を読んでみると、なかなかのメッセージソングになっているんですね。
元々ドイツ語の歌で、やはりドイツ語の「ジンギスカン 」と同じくらい世界的なヒット曲になったので、英語版も作られました。英語版のタイトルは「99 Red Balloons(ナインティ・ナイン・レッド・バルーンズ)=99の赤い風船」ですが、歌詞の内容はドイツ語歌詞を直訳したものではなく、その意図を汲んで改めて作詞されたものなので、当人たちは気に入っていない模様。
なので、ここでは、元々のドイツ語版はどんな歌詞だったのかを調べてみたいと思います。
ドイツ語→英語→日本語
こちらのサイトに、ドイツ語原詞とその直訳が対訳のように並んで書かれているので、この英語訳を頼りに、さらに日本語に訳してみました。
99 Luftballons・歌詞
もしあなたが、私のために時間を取ってくれるなら、
私はあなたのために歌いましょう。
水平線の方に流されて行った99の風船のことを
たった今、あなたは私のことを考えていますね。
じゃあ、私はあなたのために99の風船のことを歌いましょう。
そんなことが、そんなことから起こるんです。
99の風船が水平線の方に流されて行きました。
人々はそれが宇宙から来たUFOだと思いました。
そこで一人の軍司令官が戦闘機の編隊を発進させて、その後を追わせました。
もし本当にそうなら、警告するために。
しかし、水平線に浮かんでいたのはただの99の風船でした。
99のジェット戦闘機。それぞれが偉大な戦士でした。
スタートレック(宇宙大作戦)のカーク船長みたいでした。
そしてたくさんの花火が炸裂です。(気がはやって「警告」してしまったんですね)
隣国はわけが分からないので、挑発されたように感じて、水平線の99の風船に向かって射撃しました。
99の戦争大臣とマッチとガソリン缶
彼らは彼ら自身を賢明な人間だと思っていましたが、
すでに報奨金の匂いを嗅ぎつけていました。
開戦を要求して、権限を欲しがりました。
あなた、誰が想像できる?物事がこんな思いもよらない、とんでもないことになるなんて、99の風船のせいで。
99年に及ぶ戦争の結果、勝者にももはや居場所はありません。
戦争大臣もいなければ、ジェット戦闘機もいません、
今日、私は歩き回って、世界が廃墟の中に横たわっているのを見ます。
風船を一つ見つけました。
あなたを思って、空へ飛ばすよ
written by Carlo Karges
composed by Jörn-Uwe Fahrenkrog-Petersen
というわけで、100には一つ足りなかった99の風船の最後の一つを見つけたので、これで終わった。新しい一歩を踏み出そうよ、という歌ですね。
となると、歌詞の中では何の解説もない「風船」とは何のことだろう、と考えたくなります。
そして、「あなた」とは。
戦争にも耐えて最後まで生き残った、最後の一つの風船、それを「あなた」に届ける、というわけですね。何かを象徴しているのでしょうか。
浅田美代子さんの「赤い風船」
私の年代(ビートルズ世代)で「風船」と言うと思い出すのは浅田美代子さんの「赤い風船」。
ここでの「風船」が象徴しているのは「夢」みたいなものでしょうか。
五つの赤い風船「遠い世界に」
さらに思い出すのはバンド名としての「五つの赤い風船」ですね。
バンドリーダー西岡たかしさんのオートハープと女性ボーカル藤原秀子さんのねばっこい歌い方がツボでしたね。
歌詞の中に「僕たち若者がいる」と言う歌詞があるのですが、リアルタイムの当時から、今はいいけど、年取ったらどうするんだろう、と思ってましたね。
まあ最近は、「僕たち」を「君たち」にして歌えば良いか、と思うようになりました。
フランス映画「赤い風船」
歌だけではなく、映画にも「赤い風船」があります。
私が小学生だった頃に、視聴覚教育の一環だったのか学校で映画を見た覚えがあります。
子供と赤い風船がお友達になる、というお話でした。
フランス映画、赤い風船「Le Ballon Rouge(ル・バロン・ルージュ)」
赤い風船(Le Ballon Rouge)は1956年のフランスの36分の短編映画。
アルベール・ラモリス監督、第29回(1956年)アカデミー賞「脚本賞」受賞。
第9回(1956年)カンヌ国際映画祭「短編パルム・ドール」受賞。
C GもA Iもない時代に、よくがんばってファンタジー映画に仕上げたものだと感心します。
バンクシー
最近ではこちらの風船が印象に残ります。バンクシー。
Wikiより
赤い風船と少女の絵の右後方ちょっと上の落書きに「THERE IS ALWAYS HOPE(いつでも希望はある)」と書いてあるところを見ると、風船は「希望」を表しているんですね。
あるいはハート型の赤い風船は普通に「愛」を表していて、風が吹いてきたので少女はそれを手放そうとしている、愛は手放しちゃいけない、希望はいつでもある、生きている限り終わりではないと言いたいのでしょうか。
ベルリンの壁を超える風船
この曲はバンド「ネーナ」のメンバーのギタリストCarlo Karges(カルロ・カルゲス)のアイディアから出来ました。作詞も彼自身です。
ローリングストーンズのロゴマーク
彼が東西冷戦時1982年の西ベルリンで開かれた「ローリングストーンズ」のコンサートの際に数百個の風船が放たれるのを見て、この風船が「ベルリンの壁」を超えて飛んで行って、東ドイツやソ連の軍隊はどう反応するんだろう、ミサイルと誤認されて第三次世界大戦が起きても不思議ではないんじゃないか、という妄想をしたことがヒントになって作られた曲です。
作曲も、このバンド「ネーナ」のキーボード奏者Jörn-Uwe Fahrenkrog-Petersen(イェルン=ウーヴェ・ファーレンクローク=ぺーターゼン )によるものです。
最近は、実際に気球がジェット戦闘機によって撃墜されるという事件があったりするので、「そんなことからそんなことが起きる」、ということが「妄想」とばかりは言い切れない世界情勢なのが、何だかリアルに怖いですね。
今回のお話
今回は当ブログの99記事目を記念して、99という数字の入っている曲「ロックバルーンは99」をご紹介しました。
「そんなこと」から「そんなこと」が起きてしまわないように、くれぐれもお願いしたいものですね。