注☆「昆虫すごいぜ」は、放送終了となりました。記事内のリンク先も削除されたりしています。
タモリさんの「ブラタモリ」に対抗する「香川照之の昆虫すごいぜ!」
マルチタレントのタモリさんの「地質学好き」という意外な一面を取り上げた番組が、NHK・総合「ブラタモリ」だとすれば、歌舞伎役者の香川照之さんの「昆虫好き」という意外な一面を取り上げた番組が、NHK・Eテレ「香川照之の昆虫すごいぜ」という図式になりますね。
カマキリ先生
歌舞伎役者の香川照之(かがわてるゆき)さんが、スタジオの中では、オオカマキリの着ぐるみでオオカマキリのお母さん先生を演じ、子カマキリの着ぐるみの息子生徒(寺田心くん)と娘生徒(毎回変わる)の二人を相手に、昆虫についての熱弁を振るいます。
そして、野外に出ては、カマキリ先生単独で昆虫の探索ならびに捕獲に励んでその生態を紹介する、という昆虫番組です。
おはようございます。
— NHK広報局 (@NHK_PR) 2021年11月6日
きょう午後4時 #Eテレ 再放送です。いいですね皆さん。再放送。もう「見逃した!」とか言わないでくださいよ。
香川照之の #昆虫すごいぜ!「夕陽に赤とんぼを見たか」です。
大事なことなのでこの3日間で3回ツイートしました。https://t.co/a1sHEE9UQr pic.twitter.com/C86OVAkW31
オープニングに「大都会」
「香川照之の昆虫すごいぜ」の番組冒頭のオープニングテーマとして、1979年のヒット曲、クリスタルキングの「大都会」のイントロが使われているのです。
番組が始まると、テレビ画面奥、その回によって違いますが、うっそうとした緑の草や木の間の遠くのほうから、オオカマキリの頭のかぶりものだけをして、あとは動きやすいように緑色のベストやジャージを着ている「野外探索バージョン・カマキリ先生」の香川照之さんが、手前のカメラの方に向かって、全力で走って来ます。
その走って来る間に聞こえる音楽、「始まる始まる始まる〜〜〜〜」という感じで、だんだん盛り上がりながら流れて来る音楽が、クリスタルキングのヒット曲「大都会」のイントロ部分なのです。
イントロが進んで、香川照之さんもカメラ直前までたどりついて、いよいよあのハイトーンの「ああ〜〜〜」という歌い上げフレーズが始まる、というタイミングで、音楽はピタッと止まり、香川さんの気合の入った「香川照之の、昆虫、すごいぜ!」というタイトルコールになるわけです。
なぜ「大都会」なのか
ところで、イントロの曲は、なぜ「大都会」に決まったのでしょうか。
それは、セミの回やトンボなどの回で香川さんが熱く語る言葉にヒントがあります。
うろ覚えなので正確ではないと思いますが、だいたいこのようなことです。
いいかい?きみたち。
セミは幼虫時代は土の中にいて、7年間という長い長い、とてつもなく長い、土の中での準備の時間を経て、サナギになって、ようやく暗かった土の中から地上に出て、木に登って、脱皮してセミになる。そして、今までの苦労が報われて、晴れて、光にあふれた大空に飛び立つのです。
いいかい?きみたち。
きみたちも同じだよ。
今は暗い暗い気持ちかもしれない。
永遠に続くんじゃないかと思うくらい光の見えない長い長い時間だ。ねえ!
しかし、時期が来れば、時が満つれば、脱皮して、大空に羽ばたくのです。
本当のきみの人生が始まるのです。
きみがしている苦労は、羽ばたくために必要な苦労なのです。
いいかい?きみたち。
トンボも同じだよ。
空や水辺をスイスイ飛ぶ前には、やっぱり、田んぼや池の水の中で、幼虫であるヤゴとして地味〜〜に、だけど必死に生きて成長しているわけだ。
チョウも同じだ。
例えばモンシロチョウの幼虫は「青虫」だ。緑色だけど青虫だ。
毛がないので、毛虫ではない。芋虫(いもむし)と言う。
これもサナギになって、出てくることを「羽化(うか)」と言うが、今までのキャベツの上でもぞもぞはいずり回って苦労していたのが、サナギから変態をとげて、羽化してチョウになって飛び回れるようになる。
こうやってみると、やっぱり「昆虫!すごいぜ!」
というわけです。
「大都会」は昆虫の歌だった
このことを頭において、「大都会」の歌詞を、昆虫の世界のこととして置きかえて、一行一行読んで見ると、これはもう一行一行が、というより全部の歌詞が、昆虫のことを歌った歌としか思えません。
歌詞1番の「都会」は「まち」と読みます。「まち」は、昆虫が今いる場所です。
土の中であり、水の中であり、キャベツの上なのです。
これまで、どんなにつらい土の中、水の中、キャベツの上での生活であったでしょうか。
そのつらい生活がむくわれる時が来たのです。変身して光をあびて羽ばたく時が来たのです。
自分に置きかえてみると
さらに、これを自分に置きかえて読んでみると、もはや涙なくしては読めません。
今はつらくても、輝くことを目標に生きていこうと思いました。
これからはもう、クリスタルキングを見ると、炸裂するアフロヘアーと高音ボーカルの田中昌之さんはセミの鳴き声王者「クマゼミ」にしか、そして、低音巻き舌だけど根は真面目そうなムッシュ吉﨑さんは、そのサングラスが、トンボの王者「オニヤンマ」にしか見えません。
今回のお話
今回はNHK、Eテレ「香川照之の昆虫すごいぜ」のテーマソングのイントロがなぜ、クリスタル・キングの「大都会」になったのか、を探りました。
その結果、「大都会」の歌詞を昆虫界にあてはめてみると、昆虫たちは苦労する時代があるからこそ、そこでたくわえたエネルギーをもとに、時が来れば、サナギになって変態して、脱皮して羽化して、羽ばたいて大空を飛び回ることができるのだ、という、昆虫の生き方が歌われている、と解釈できることが分かりました。
そんな昆虫の生き方はまた、私たち人間にも当てはまる、ということも教えてくれます。
昆虫もスゴイけど、そんな発見をさせてくれた香川照之さんもスゴイぜ!
(追加)
でも、いくら羽ばたけたからと言って、夜中の火に集まる夏の虫のように、とんでもない勘違いをして、自分から飛んで火に入ってしまっては、とんでもないことになってしまいます。
やって良いことと悪いことの区別が付かなかった香川照之さんは、ヤバいぜ。
良い子のみなさんは、やって良いこと、悪いことの区別が付くように、ちゃんと考えてから行動するようにしましょう。
自分も楽しくて、相手も喜んでくれることは、やって良いことで、相手が嫌がったり迷惑に思うことは、自分が楽しくてもやってはいけないことです。