一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

本当は怖くない「くるみ割り人形」の「金平糖の踊り」

 

楽楽精算「横澤さんの日記」篇(30秒)の怖そうな音楽は?

いかにも怖そうな音楽の、楽楽精算「横澤さんの日記」篇(30秒)

シリーズになっている「楽楽精算」のCM。「横澤さんの日記」篇(30秒)では、仕事の過重なストレスのあまりに、横澤夏子(よこざわなつこ)さんが生き霊となって滝藤賢一(たきとうけんいち)さん演じる経理部長の背後から現れる、みたいなストーリーになっています。

その背後に流れる音楽も、こんな暗い場面で流れるので、いかにも怖そうに聞こえますが、実はそうではありません。

楽楽精算「横澤さんの日記」篇(30秒)

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床に落ちているノートを拾って読み出す経理部長の滝藤さん。どうやら経理の横澤さんのノートらしい。

ん?

「出張費や交際費の申請が増えてきている。」

「総務のTさんに、申請の不備を伝えたら、嫌な顔をされた。」

「営業のSさんに、精算を差し戻ししたら、「やっといてよ」と言われた。」

「2人とも・・・」と、滝藤さんがページをめくると、大きな赤文字で、

「忘れないからな」

そんな横澤さんの日記を読んでしまった滝藤さんの背後に現れるのは、不気味な笑みを浮かべた横澤さん・・・

というCMストーリーの背後に流れる音楽なので、ことさらに怖く聞こえますが、実はこれは有名なバレエ音楽。

「くるみ割り人形」の「金平糖の踊り」

この音楽は、チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「くるみ割り人形」の中の、「金平糖の踊り」というタイトルの場面で踊られる、ダンスの伴奏をする音楽です。

「くるみ割り人形」のお話

物語の主人公の女の子「クララ」が、部屋の中で繰り広げられる「くるみ割り人形」対「ネズミ」の戦いの際に「くるみ割り人形」に加勢したので、実はその正体は王子さまだった「くるみ割り人形」がお礼のために、「クララ」をお菓子の国に招待しますが、そこで二人を出迎えるのがお菓子の国の女王さまである「金平糖の妖精」です。

バレエ「金平糖の踊り」

その場面で「金平糖の妖精」が踊る音楽が「金平糖の踊り」です。

こちらの映像は、本番のバレエ全編ではなく、「金平糖の踊り」だけを抜き出した踊りのコンペティションのようですね。

金平糖の精のヴァリエーション「くるみ割り人形」
アンナ・オーリ/Sugar plum variation "Nutcracker"Anna Olj

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チェレスタ

メロディーを奏でているのは「チェレスタ」というチャイコフスキーがこの曲を作曲している当時に発明されたばかりの楽器です。

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フランス語では「Célesta(セレスタ)」天上の、という意味で、天国のような浮遊感のある、あるいは、幻想的で魔法のような、夢見るような雰囲気を出す場面でよく使われる楽器です。

「ハリーポッター」「不思議の国のアリス」「アラジン」「ペトルーシュカ」「シンデレラ」でも使われているんですね。

金属の板をフェルトを貼ったハンマーで叩くので、鉄琴やオルゴールに似た音ですが、より柔らかい音ですね。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/73/Celesta_Schiedmayer_mechanism.gif

Wikiより・チェレスタの仕組み

オーケストラ版「金平糖の踊り」

こちらのフルオーケストラによる演奏では、「チェレスタ」の本物も、ちらっと見られます。

P.I.チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より 金平糖の踊り

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今回のお話

今回は、使われる場面によっては怖そうに聞こえる「くるみ割り人形」の「金平糖の踊り」は、チェレスタの語源である「天上の」という意味から発生した浮遊感のある、魔法のような、という意味合いの、夢見るような幻想的な雰囲気を出すことに成功している音楽だ、ということをお話しました。

「魔法のような、幻想的な」という感じから、CMなどで使われる場面によっては、「怖い」という感想を持たれるかもしれませんね。

ここはぜひ、実際の舞台の華やかなバレエをご覧になって、そんな印象を払拭なさることをおオススメします。

「くるみ割り人形」にはこんな音楽もあります。

ducksfly.hatenablog.com

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