一音九九楽

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いちおんくくらく★ひとつの音からたくさんの楽しいこと

朝ドラ「カムカムエヴリバディ」のNHK「英語会話」テーマソング「ショージョージ」はアーサー・キットで大ヒット

NHK朝の連ドラタイトル「カムカムエヴリバディ」はラジオ講座「英語会話」のテーマソングのこと

NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は、戦前戦後にわたる女性ヒロイン三代記にからめて、いつも彼女たちの傍にはNHKラジオの「英語会話」の語学講座があった、という、ちょっとした「英語会話」についての歴史紹介、という側面を持つドラマになっています。

なお、番組紹介写真で、ヒロイン三人が木の上に登っているのは、「家系図」を英語では「ファミリーツリー」と言うから、ということもありますが、桃太郎伝説の家来「キジ、犬、サル」の「サル」から来ているのでは、という読みもあります。

「キジ」は「雉間繊維」、「犬」はケチャップの付いた「ホットドッグ」。ならば、「サル」も木から落ちるので「木登り」で、というわけです。

note.com


安子(祖母)は「上白石萌音(かみしらいしもね)」、るい(母)は「深津絵里(ふかつえり)」、ひなた(娘)は「川栄李奈(かわえいりな)」。

 

その中で、「安子」と「るい」が共通して聞いていたのは、放送期間1946年~1951年の平川唯一さんの担当した期間の「英語会話」。

www2.nhk.or.jp

カムカムエヴリバディ歌詞

こちらは、その当時のNHKラジオ「英語会話」オープニングテーマ歌詞です。英語と日本語です。

Come, Come, everybody.
How do you do, and how are you?

Won’t you have some candy?
One and two and three, four, five.

Let’s all sing a happy song.
Sing trala la la la.

 

日本語歌詞はこちらです。

来い来い、みんな来い。
こんにちはで、ご機嫌さん?

 

お菓子を、召し上がれよ?
一つに 二つに 三つ、四っつ、五つ。

 

どんどと歌おうよ、うれしい歌を。

 

そして、こちらは「英語会話」エンディングテーマ。
オープニングテーマと歌詞が違うので、2番ですね。

Good bye, everybody.
Good night, until tomorrow.

Monday, Tuesday, Wednesday,
Thursday, Friday, Saturday, Sunday.

Let’s all come, and meet again.
Singing trala la la la.

 

日本語歌詞はこちら。

さよなら、みなさん。
おやすみ、またあした。

 

月曜、火曜、水曜、
木曜、金曜、土曜、日曜。

 

また来て歌おうよ、うれしい歌を。

このテーマ曲の作詞は、英語歌詞、日本語歌詞ともに、番組の英語講師でもある平川唯一(ひらかわただいち)さんです。

平川さんは、終戦時に玉音放送(終戦の詔勅)を英訳し、国外に向け国際放送でこれを朗読した人です。

www.youtube.com

元歌は「証城寺の狸囃子」

元歌は大正14年(1925年)発表の「証城寺の狸囃子(しょうじょうじのたぬきばやし)」。

作詞は「野口雨情(のぐちうじょう)」、作曲は「中山晋平(なかやましんぺい)」です。

www.youtube.com

歌詞はこちらです。

www.utamap.com

証誠寺の狸囃子伝説

千葉県木更津にある証誠寺には、「狸囃子伝説」があります。

お寺の「おしょうさん」の三味線と、たぬきたちのおなかをポンポコ「はらつづみ」による今で言うセッション、音楽バトル、音楽合戦があって、結果、たぬきのおなかの皮が破れちゃった、というお話です。

その伝説を知った「野口雨情」が詞を書き、「中山晋平」が曲を付けて大ヒットしたんですね。

狸囃子(たぬきばやし)の由来

なぜそんな伝説が出来たのか、というと、この証誠寺では昔、5昼夜にわたる雅楽による法要をしていたのだそうです。

昼間はまだ良いとして、人が寝ている夜中に、月明かりしかない中で、遠くから雅楽器の「ぴーひゃらぽん」の音が聞こえてくれば、「こんな時間に人間が演奏してるわけがない。もののけだ!たぬきのおはやしだ!」という風評が立ったのではないか、そんな噂から出来たお話ではないかと推測されます。

https://i1.wp.com/shojoji.net/wordpress/wp/wp-content/uploads/2020/09/e794adf8d6a2e90aa5988e0c0f7bedf0.jpeg?resize=1024%2C768&ssl=1

證誠寺公式ホームページより。證誠寺境内の「狸塚」を訪れた作詞家「野口雨情」

 

なお、実在のお寺は「証誠寺」ですが、歌では「証城寺」になっています。

アーサー・キットの歌で大ヒット

そして、この「証城寺のたぬきばやし」の英語版である「英語会話」の主題歌が、アメリカ人の耳に入っていたのかも知れません。

アメリカの歌手「アーサー・キット」が1955年に独自の歌詞を付けてヒットさせました。

Sho-jo-ji (The Hungry Raccoon) 、証城寺(はらぺこアライグマ)

www.youtube.com

歌:アーサ・キット(Eartha Kitt)
作詞:野口雨情(Ujo Noguchi)
English Lyric: Bill Walsh
作曲:中山晋平(Shinpei Nakayama)

 

ちょっと中国ふうな雰囲気ですが、英語だけかと思いきや、途中、ちゃんとした日本語女声コーラスも一部入っているんですね。

 

英語の歌詞は「しょーじょーじ」というお寺の名前が、「ジョージ」という英語の人名からの連想なのか、「ラクーン」つまりたぬきに似ている「アライグマ」の「名前」になっているし、「コイコイ」という音が面白く聞こえたのでしょうね、「コイ」という「何か(食べるもの)」について歌ってることになっているしで、「ちょっとずつ違う」のですが、楽しいので良いことにしましょう。

 

ここでは「ショージョージ」がいちばん食べたがっていて、いつもその名を歌っているのは「コイ」で、魚の「鯉」ということになっていますが、実際アライグマは魚を食べるそうです。

 

また、「負けるな負けるな」については、発音が似ている「マカロンとマカロニ(Macaroons and macaroni)」という食べ物の名前を引っ張って来ています。


「ジェリービーンズとピンクのスプモーネ(イタリアのおしゃれなアイスケーキ。複数形なのでスプモーニになってます)(Jelly beans and pink Spumoni)」と続けていて、ハングリーなアライグマのショージョージくんは、なかなかのグルメのようです。

ja.wikipedia.org

実際、アライグマは甘い物も好きだとのこと。

SOYJOYのCMソングにも「証城寺の狸囃子」

この歌は人気があって、時々CMソングにも採用されます。

www.youtube.com

こちらは大豆食品「SOYJOY」のCMです。

主人公(池松壮亮さん)がタヌキに遊ばれている、という設定なので、「証城寺の狸囃子」が使われているんですね。

「こいこいこい」が「ソイジョイジョイ」になってます。歌詞は「YouTubeで見る」と、見られます。

今回のお話

今回は、NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」に出てくる、NHK「英語会話」テーマソングについて調べてみたら、作詞は番組講師でもある平川唯一さんですが、元歌は「証城寺の狸囃子」であること。

そして、この歌はアメリカでは「ショージョージ」という名前の「アライグマ」の歌、ということになって、歌手「アーサー・キット」の歌で大ヒットした、というお話でした。

ちなみに、実際のたぬきとアライグマの違いはこちらです。

こちらはたぬきです。ちょっと犬みたいですが、英語では「Raccoon Dog(アライグマ犬)」

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/92/Nyctereutes_procyonoides_16072008.jpg

wikiより「たぬき」

 

そして、こちらはアライグマ。尻尾のシマシマが特徴ですね。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/99/Raccoon_climbing_in_tree_clipped.jpg

wikiより「アライグマ」