「東京日商エステム」CM
「東京日商エステム」 2023年度コーポレートCM(30sバージョン)
「東京日商エステム」は、分譲マンションの販売等を行っている不動産会社です。
近畿圏で実績を積んで、東京日比谷に事務所を開設して関東圏にも乗り出した、ということのようですね。
それで「東京」という冠が付いたんですね。
YouTubeにはこのCM動画と全く同じ内容の動画が二つ並んでいるので、どこが違うんだろうと思ったら、「東京」の文字のあるなしでした。
二人の玉木さんの会話
CMでは、玉木宏(たまきひろし)さんが、優雅な音楽が流れるクラシックな雰囲気の喫茶店でコーヒーをスプーンでかき回していると、隣にやはりコーヒーを飲んでいる「もう一人の玉木宏」さんがいることに気が付きます。
もちろん一人二役ですが、最初の玉木さんが驚いて、
「えっ!?」
と言うと、もう一人の玉木さんが
「そう、私たちはとても似ている。しかし、明らかに違う点が一つ。あなたは家をあきらめ、私は家を買った。」
一人目の玉木さん
「家を?」
二人目の玉木さん
「それ以外は、あなたと何も変わりません」
それを聞いて一人目の玉木さんは気色(けしき)ばんで急に立ち上がりながら、声を荒げて、
「じゃあ、何で家が買えるんですか!」
この取り乱した大きな声のセリフを聞いて、喫茶店のマスターがコーヒーを淹(い)れながら、クラシックな店内の優雅な雰囲気を壊してしまった一人目の玉木さんに、冷静に横目でジロリと目をやります。
泰然自若として落ち着いている二人目の玉木さんが優雅にコーヒーを飲みながら、
「あなたが知らなくて、私が知っていることがある」
そこで、一人目の玉木さんの不安そうな顔のクローズアップ。
対する二人目の玉木さんは微笑みながら
「東京日商エステム」
と言ったところでナレーション
「あなたの家はここにある。東京日商エステム」
曲はモーツアルト
さて、このクラシックな喫茶店の店内に流れている音楽は、モーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(小夜曲)の第二楽章です。
W.A.Mozart:Serenade in G major, KV.525
Eine kleine Nachtmusik
クラシックな喫茶店に似合う音楽は
モーツアルトのいかにもゆったりとした、優雅な音楽は、このクラシックな喫茶店の雰囲気によく似合っていますね。
ただし、これは第二楽章だから良いのであって、例えば同じモーツアルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(小夜曲)でも、今度は第一楽章だと、聞く人が一挙に覚醒して音楽に聞き耳を立ててしまうことになり、「クラシックな喫茶店」ではなく「音楽喫茶」になってしまいます。
モーツアルト「アイネクライネナハトムジーク」第一楽章
(N響の楽団員による弦楽五重奏)
これでは会話は進みませんし、考え事もできません。
クラシック音楽はたいがい、第一楽章は快活なアレグロ、第二楽章がアンダンテ、アダージョなどのゆったりめの設定の曲になっています。
例えば、こちらもモーツアルトの別の曲の第二楽章です。
モーツアルト「ピアノ協奏曲21番第二楽章」
ピアノ・ポリーニ / ティーレマン指揮ベルリン・フィル
クラシックな喫茶店に流れる音楽としては軽やかで優雅なしかも落ち着いた音楽が求められるでしょうね。
その点から言えば、第二楽章を採用したこの「東京日商エステム」のCMは良い狙いだったと思います。
そういう用途のためなのかどうか、色々な作曲家の音楽の第二楽章のみを集めたコンピレーションレコードも作られたりしています。
今回のお話
今回は、クラシックな喫茶店で流れる音楽は、クラシック曲の第二楽章のような優雅でゆったりとした音楽がふさわしい、というお話でした。
空港やホテルのラウンジで流れて欲しい音楽はまた違うでしょうね。
例えば、こちらは、ホテルのラウンジで流れていた曲です。